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けいかく
ふりがな文庫
“
圭角
(
けいかく
)” の例文
流石
(
さすが
)
にこれは
圭角
(
けいかく
)
が鈍い。残の雪が夫から夫へと蜘蛛手に橋を架け渡す。泡立つ水が声を揚げて其根方に搦みついてはすういと流れて行く。
黒部川奥の山旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
「それまでには随分揉まれるだろうから、
圭角
(
けいかく
)
が取れて勤まるようになる。修業の積まない中に辞退したんじゃ実際路頭に迷うかも知れないぜ」
負けない男
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
〔譯〕前人は、
英氣
(
えいき
)
は事を
害
(
がい
)
すと謂へり。余は則ち謂ふ、英氣は無かる可らず、
但
(
た
)
だ
圭角
(
けいかく
)
を
露
(
あら
)
はすを不可と爲すと。
南洲手抄言志録:03 南洲手抄言志録
(旧字旧仮名)
/
秋月種樹
、
佐藤一斎
(著)
「鈍才も尊い。黙って、地下百尺にうずもれたまま、事成る日まで
圭角
(
けいかく
)
を見せぬものは、
名利
(
みょうり
)
の中に仰がれる才物より、どれほど、たのもしいか分らない」
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それからまた、年ごとに
圭角
(
けいかく
)
がとれてきて、時とともに穏和になってきた。彼女のうちには言い知れぬ哀愁がこめていて、自分でもその理由を知らなかった。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
▼ もっと見る
まだ三十四五であったが、世の中の
辛酸
(
しんさん
)
をなめつくして、その
圭角
(
けいかく
)
がなくなって、心持ちは四十近い人のようであった。養子としての淋しい心の
煩悶
(
はんもん
)
をも思いやった。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
物馴れた五十前後の男、彈力も
圭角
(
けいかく
)
も失つてしまつた、忍從そのもののやうな典型的な番頭です。
銭形平次捕物控:110 十万両の行方
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その
圭角
(
けいかく
)
をなくした
円
(
まろ
)
やかな地図の輪郭は、
長閑
(
のどか
)
な雲のように微妙な線を張って
歪
(
ゆが
)
んでいた。
ナポレオンと田虫
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
元来、良寛様は
圭角
(
けいかく
)
の有る人である。利かん気に充ちた人である。修養によって、もの柔らかに、穏健に、円熟にと進まれた人であろうかと思われる点が多々あるようである。
魅力と親しみと美に優れた良寛の書
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
お政はずいぶん
神経
(
しんけい
)
過敏
(
かびん
)
に
感情的
(
かんじょうてき
)
な女であるけれど、またそうとうに
意志
(
いし
)
の力を持っている。たいていのことは
胸
(
むね
)
のうちに
処理
(
しょり
)
して外に
圭角
(
けいかく
)
をあらわさない
美質
(
びしつ
)
を持っている。
告げ人
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
人間の社会的に生きて行くべき方法も
頷
(
うなず
)
けるような気がして、持前の
圭角
(
けいかく
)
が
除
(
と
)
れ、にわかに足元に気を配るようになり、養子という条件で三村の令嬢と結婚もしたのであったが
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
もともとおとなしい
性
(
たち
)
で、
圭角
(
けいかく
)
のあるようすを見せたことはなかったが、最近は別して柔和になり、挙止動作に丸味が出来、春草が風に
靡
(
なび
)
くようなやさしい立居をするようになった。
鈴木主水
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
チロチロと
漣
(
さざなみ
)
の刻むような光りがする、岩石の間に、先刻捨てた尻拭き紙までが、真赤にメラメラと燃えている、この窪地一帯に散乱する岩石の切れ屑は、柔らかく
圭角
(
けいかく
)
を円められて
谷より峰へ峰より谷へ
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
堂々としておのれの言わんと欲する処を言うものは稀なり。男子は須らく
圭角
(
けいかく
)
あるべし。水上子の言う処悉く当を得たるや否やは余の深く問う処に非ず。余は子の意気あるを悦ぶものなり。
偏奇館漫録
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
しかも、奇妙に脂ぎっていて、死戦時の
浮腫
(
ふしゅ
)
のせいでもあろうか、いつも見るように
棘々
(
とげとげ
)
しい
圭角
(
けいかく
)
的な相貌が、死顔ではよほど緩和されているように思われた。ほとんど、表情を失っている。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
昔の雑誌編輯者というものは一見識を具えていて、なかなか
圭角
(
けいかく
)
があった証拠として、樗陰の例を二つ三つ引いて置こう。私が知っているのでは、樗陰が最も嫌っていたのは
鈴木三重吉
(
すずきみえきち
)
であった。
文壇昔ばなし
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
けだし仮名の読み難きは、文字の大きさの同じき事、文字の形の皆丸くして
圭角
(
けいかく
)
少き事、父音母音の区別なき事等に因る者にして、その解し難きは、同音の字多き漢語を仮名に直したるに因るなり。
病牀譫語
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
圭角
(
けいかく
)
がとれたとは称し難いながら、さすがに人間の重みも加わった。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
片麻岩の大塊が鋸の歯のような鋭い
圭角
(
けいかく
)
をいら立たせて押重っている下に、小砂利を敷き詰めた平があって、泡の浮いた薄汚い水が溜っている。
黒部川奥の山旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
いよいよその地歩を
占
(
し
)
めて、新旧勢力の大官中に伍し、いつのまにか若年ながら
錚々
(
そうそう
)
たる朝臣の一員となっているところ、早くも凡物でない
圭角
(
けいかく
)
は現れていた。
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
物馴れた五十前後の男、弾力も
圭角
(
けいかく
)
も失ってしまった、忍従そのもののような典型的な番頭です。
銭形平次捕物控:110 十万両の行方
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
熱狂の酷烈さを公布し減退させること、
圭角
(
けいかく
)
を削り
爪牙
(
そうが
)
を切ること、勝利を微温的たらしむること、正義に衣を
被
(
き
)
せること、巨人たる民衆にすみやかに寝間着をきせ床につかせること
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
狭い谷は全く滝と奔湍との連続で、河床には
圭角
(
けいかく
)
の鋭い岩が乱れ立ち、水は其間を狂奔している。
黒部川を遡る
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
しかし、笠置合戦では、この
大鵬
(
たいほう
)
は、まだなんらの動きもその
圭角
(
けいかく
)
も見せていない。
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その一つ此窓の大岩柱は直ぐ目の前にがっしりと根を張って、曇りを帯びた朧の雪が
燻
(
いぶし
)
し銀の金具の様に根元を飾っている。最高点は其北に在って赤錆びた
圭角
(
けいかく
)
が
鑿
(
のみ
)
のように鋭い。
黒部川奥の山旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
けれど、手頃でどこの垣へでも
嵌
(
はま
)
るような石は、抱える大名がその多いのを持て余し、これはと思う石には、
圭角
(
けいかく
)
があり過ぎたり、
妥協
(
だきょう
)
がなくて、自己の垣へはすぐ持って来られないのが多かった。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
透間もなく密生した石楠を手掛り足掛りとして、表面は
圭角
(
けいかく
)
の鋭いぼろぼろの岩屑と変っている岩の間を匐い上り、長いが狭い頂上の突端に立った。三角点の標石があって、櫓は横に倒れている。
秋の鬼怒沼
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
それも、しいてしている低姿勢とはみえず、人前に
臆
(
おく
)
しがちな、はにかみともいえそうな
翳
(
かげ
)
が、その肩や
面
(
おも
)
ざしを、自然なやわらかいものにしていて、するどい
圭角
(
けいかく
)
らしさなどは物腰のどこにもない。
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
圭
漢検準1級
部首:⼟
6画
角
常用漢字
小2
部首:⾓
7画
“圭”で始まる語句
圭
圭二
圭介
圭子
圭吾
圭一郎
圭三郎
圭表儀