囚人めしうど)” の例文
警護の者は囚人めしうどを神聖裁判所の古い建物内にある、陰気で狭苦しい丸天井の牢屋へ引きたてて来ると、その中へ監禁してしまった。
牢は大きく、囚人めしうど多勢おおぜいでした。むやみに牢をひらいて、兇悪な曲者くせものを町にはなっては、世の人のめいわくが思いやられます。
幻術天魔太郎 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
も勤れば決斷には如才有まじそれひとの命の重き事は申さずとも承知ならん然ばよく/\吟味に念をいれ囚人めしうど九助が罪を訊糺とひたゞし罪にふくせざる中はこれ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
この囚人めしうどはおよそ十人ばかりであろう。そのあとから二、三十人の男が片袒かたはだぬぎで長い鉄のむちをふるって追い立てて来た。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
どんなよこしまな魔力を以つてしても、その聖者が自分の僧房をとざしたその同じ鍵でひらかぬかぎり、この中から囚人めしうどを外へ出すことは出来ぬのぢや。
神尾主膳が何故に机竜之助をここへ置いたかということは、まだ疑問でありましたけれど、ここへ置かれた机竜之助は、囚人めしうどでも監禁のすがたでもありません。
んでしいとはおもへども、小鳥ことりあしに、氣儘少女きまゝむすめが、囚人めしうどくさりのやうにいとけて、ちょとはなしては引戻ひきもどし、またばしては引戻ひきもどすがやうに、おまへなしたうもあるが、しうもある。
まれに真剣を手にしても、斬るのは藁人形かせいぜい囚人めしうどどうが関の山。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
婦人の外出に付き家事の都合を夫に相談するは当然なれども、婦人の身にも戸外の用事あり、其用事に差掛りても夫の許を得ざれば外出は叶わずと云うか、一家の主婦は監獄の囚人めしうどに異ならず。
女大学評論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
「生きの身をくだきてめよ囚人めしうどの心おのづとさめて来たらむ」
睡蓮 (新字新仮名) / 横光利一(著)
鳩よ鳩よをかしからずや囚人めしうどの「三八七さんはちしち」が涙ながせる
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
(さても誉れの囚人めしうどや)
『二十五絃』を読む (新字旧仮名) / 蒲原有明(著)
平次と八五郎を迎へた番頭の仲左衞門は、土壇場どたんばに引据ゑられた囚人めしうどのやうに、引ゆがんだ顏をして居ります。
扨も文藏夫婦並に下男げなん吉平は翌朝よくてう大勢村の者を差添御代官簑笠之助殿御役宅へ召連めしつれまかり出昨夜御預の囚人めしうど
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
と彼は片時も囚人めしうどから眼を離そうとしないで、考えこむような風に、こう言い足したのだ
このまま囚人めしうどを君に頼みますぞ、これからいったん追波おっぱの本流へ出て、鹿又ししまたから北上の本流を石巻まで舟でやってくれ給え、舟は本流へ出るまでは、今のあれでよろしい、それからは
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
願ひ上ますと慇懃いんぎんに申ければ下役人點頭うなづきいや夫は案じるな囚人めしうどは大切に致さねばならぬことはかみからも再應さいおうふれの有儀なり併し今あはせた事は他へ云まいぞと徐々そろ/\九助を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
囚人めしうどをさらわないともかぎらないと思ったか、はだか馬をとりかこんだ警戒はおそろしく厳重で、町まちの野次馬も、うっかりそばへはよりつけそうもありません。
幻術天魔太郎 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
六尺棒で押しへだてられて、竹矢來の外につまみ出されると、改めて囚人めしうど小三郎を馬からおろし、役人がもう一度罪状を讀み聽かせた上、目隱しをして磔柱はりつけばしらに掛けるのです。
囚人めしうど小三郎を乘せた馬が、竹矢衆の中へ入らうと言ふ時でした。一挺の町駕籠が、役人の油斷を見すまして、ツ、ツ、ツと、裸馬の前——ピタリと竹矢來の入口をふさいだのです。
囚人めしうど小三郎を乗せた馬が、竹矢来の中へ入ろうという時でした。一梃の町駕籠まちかごが、役人の油断を見すまして、ツ、ツ、ツと、裸馬の前——ピタリと竹矢来の入口をふさいだのです。
囚人めしうど風呂で構やしません、灰洗あくあらひにする積りやゴシゴシやつて頂きたいんで