單衣ひとへもの)” の例文
新字:単衣
おつぎはそれから村内そんない近所きんじよむすめともかよつた。おつぎは與吉よきちちひさな單衣ひとへもの仕上しあげたとき風呂敷包ふろしきづゝみかゝへていそ/\とかへつてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
そのなかでもとりわけ立派りつぱ總縫模樣そうぬいもやう晴着はれぎがちらと、へいすきから、貧乏びんぼう隣家となりのうらにしてある洗晒あらひざらしの、ところどころあてつぎ などもある單衣ひとへものをみて
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
なしけるに因つて領分構りやうぶんかまひとなり九郎兵衞は夫より駿河國府中ふちうに知る人あるにより遙々はる/″\と尋ね行き此處に三ヶ月程居たれども兎角とかく人請惡く彌々いよ/\落付おちつき難きに付煮染にしめたる樣な單衣ひとへもの
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
かれ他人たにんやとはれてながら、草刈くさかりにでもとき手拭てぬぐひこん單衣ひとへものと三尺帶じやくおびとを風呂敷ふろしきつゝんでうま荷鞍にぐらくゝつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
どうも喧嘩けんくわわからない。晴着はれぎ晴着はれぎでよいではないか。また、單衣ひとへもの單衣ひとへものでよいではないか。晴着はれぎ晴着はれぎ單衣ひとへもの單衣ひとへもの晴着はれぎがいくら立派りつぱでも單衣ひとへものやくにはたない。單衣ひとへものもそうだ。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
しなは十九のはる懷胎くわいたいした。自分じぶんでもそれはしばららずにた。季節きせつ段々だん/\ぽかついて、仕事しごとには單衣ひとへものでなければならぬころつたので女同士をんなどうしかくしおほせないやうにつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)