咳拂せきばら)” の例文
新字:咳払
『エヘン!』と一つ咳拂せきばらひして、ねずみ尊大そんだいかまへて、『諸君しよくんよろしいか?もつと乾燥無味かんさうむみなものはこれです、まァだまつてたまへ、諸君しよくん! ...
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
學院インスティテユーション」といふ字の意味を考へながら、最初の言葉と聖書の句との間の關係を知らうとつとめてゐる時に、私の直ぐ背後で咳拂せきばらひがしたので頭を向けた。
母は細帶を締めて、枕元の行燈をげて出て行つた。表の掛金を外す音がした。醫師の島田は二三言何か云つてゐたが、やがて太い咳拂せきばらひをして歸つて行つた。
避病院 (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
そんな事を言ふ間もなく、外から八五郎の恐ろしくでつかい咳拂せきばらひが聽えます。
いゑ中々なか/\そのやうに遠方ゑんはうことばかりでは御座ござりませぬ、追々おひ/\にと衣紋ゑもんいて咳拂せきばらひすれば、小間使こまづかすこかほあかくして似合頃にあひごろうへ惡口わるくちふくなにすやらと尻目しりめにらめば
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
になるとかれしづか厨房くりやちかづいて咳拂せきばらひをしてふ。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
我々がもうるからつて。それからジエィン、若し誰かあたりにゐたら、階段の下へ來て咳拂せきばらひして下さい。
なみだをかくしてうつあはれさ、うちにはちゝ咳拂せきばらひのれもうるめるこゑなりし。
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ブロクルハースト氏は咳拂せきばらひをした。