さけび)” の例文
魂の深底においてヨブは神の独子ひとりごを暗中に求めて、人心本来の切願を発表したのである。げに独子を求むるは人心おのずからのさけびである。
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
神々しいさけびだ。このつわものの声は、きっときっと千代田の森まで、そして、戦死者の魂にまで、つよくつよくひびいて行くにちがいない。
昭和遊撃隊 (新字新仮名) / 平田晋策(著)
「ベルリンへ! ベルリンへ!」といふさけびはます/\盛んになつて、パリーの町々はわきかへるさわぎであつた。仏軍はぞく/\国境さして出発する。
風変りな決闘 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
無論むろん偶然ぐうぜん符合ふがふではありますまい。』とわたくし感嘆かんたんさけびきんなかつた。武村兵曹たけむらへいそう前額ぜんがくでゝ
超人を以てるお前を襲っているのだ。霊のさけびはどこにある。490
この苦痛のさけびを聞いて何人なんびとか心を動かさざらん。自分はそのままとどまって
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
もれたる、はかりしれざるゆめを、たいさけびを。
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
おのがさけびの心をも、つひにさとらで傷つける
かくて怒號のさけびつぎつぎに高まさりて
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
理学士は思わず驚きのさけびをあげた。
幽霊屋敷の殺人 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
しかし余は教会と教職とに問わずしてただちに人の霊魂に訴えた。しかして数万の霊魂は余の霊魂のさけびこたえてくれた。余の執筆の業はこの小著述を以て始った。
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
波の音と風の声が、悲しい悲しいさけびをあげる。
昭和遊撃隊 (新字新仮名) / 平田晋策(著)
ゑしベリガンのけうときさけび
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
殺すさけびや死ぬるなげきや7660
名利みやうり」のさけびふたがずば。
ソネット (旧字旧仮名) / ステファヌ・マラルメ(著)
殊に来らんとする神の震怒いかりの日に於ける彼等の仲保者又救出者として仰いだのである、「千世経し磐よ我を匿せよ」との信者のさけびは殊に審判さばきの日に於て発せらるべきものである
なにものか負傷ておひくるしむさけびごゑ
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
これ絶望の悲声であって理性のさけびではない。しかしながら人の心は何か訴うる所を要求するのである。人は何かに我の証人となってもらいたいのである。おぼるる者はわらにもすがるという。
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
茴香酒アブサンの青み泡だつ火のさけび
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
故に彼は「我を捨ておき給え」と願い、また「われいのちを厭う、我は永く生くることを願わず」となげくのである。実にこれ神をあつく信ずる者のさけびである。彼は大災禍に会するもごうも神の存在を疑わない。
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
赤き子のたかさけびを。
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)