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切拔
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きりぬ
處を、
辛うじて
切拔けると、
三島樣の
曲角で、
又はじめて、
入谷の
大池を
右に、ぐつと
暗くなるあたりから、
次第に
凄く
成つたものだ——と
聞く。
夫れよと
即坐に
鋏を
借りて
女子づれは
切拔きにかゝる、
男は三五
郎を
中に
仁和賀のさらひ、
北廓全盛見わたせば、
軒は
提燈電氣燈、いつも
賑ふ五
丁町、と
諸聲をかしくはやし
立つるに
……
更めて
言ふまでもないが、
車賃なしの
兵兒帶でも、
辻、
巷の
盛り
場は
申すまでもない
事、
待俥の、
旦那御都合で、を
切拔けるのが、てくの
身に
取り
大苦勞で。
「こいつを
樂に
切拔けないぢや
東京に
住めないよ。」と、よく
下宿の
先輩が
然う
言つた。