すん)” の例文
夫れから同じ長州の藩士で東条礼蔵とうじょうれいぞうと云う人も矢張やはり私と同僚飜訳方ほんやくがたで、小石川の蜀山人しょくさんじん住居すまいう家にすんで居た。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
大塚の隣屋敷に広い桑畑くわばたけがあって其横に板葺そぎぶきちいさな家がある、それに老人としより夫婦と其ころ十六七になる娘がすんで居ました。以前は立派な士族で、桑園くわばたけすなわち其屋敷跡だそうです。
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
ういふわけ黄金餅こがねもちなづけたかとまうすに、しば将監殿橋しやうげんどのばしきは極貧ごくひんの者ばかりがすん裏家うらやがござりまして金山寺屋きんざんじや金兵衛きんべゑまうす者の隣家となりるのが托鉢たくはつばうさんで源八げんぱちまうす者
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
ぐおあいの隣りには、おあいの叔母にあたる人がすんでいた。この人は、全くの独り者で、骨肉こつにくというものはただおあい一人しかなかった。おあいは、極めてはきはきとした勝気の女であった。
凍える女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
こは当楼の後ろの大薮に数年すねんすんでいる狸の所為しわざにて、毎度この高味うまいものをしてやらるると聞き、始めてばかされたと気がついて、はては大笑いをしたが、化物ばけものと直接応対したのは、自分ばかりであろうと
枯尾花 (新字新仮名) / 関根黙庵(著)
その時に私共が飜訳ほんやくする役目にあたって居るので、夜中に呼びに来て、赤坂にすんで居る外国奉行松平石見守まつだいらいわみのかみの宅にいったのが、私と杉田玄端すぎたげんたん高畑五郎たかばたけごろう、その三人で出掛けて行て
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
私はその時に新銭座にすんで居たから、とてもこりゃ戦争になりそうだ、なればどうも逃げるよりほか仕様しようがないと、ソロ/\にげ仕度をすると云うような事で、ソコでいよいよ期日も差迫さしせまっ
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)