トップ
>
伝馬船
>
てんません
ふりがな文庫
“
伝馬船
(
てんません
)” の例文
旧字:
傳馬船
旧来の
伝馬船
(
てんません
)
や
荷足
(
にたり
)
ではなく、新式の舶来の蒸気船だ、蒸気船を山へ積み込むとは、なるほどこのごろの徳川幕府のやりそうなことだ
大菩薩峠:11 駒井能登守の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
かくて、この日の午後、的矢丸は本部島の沖に近よって、
伝馬船
(
てんません
)
一
隻
(
せき
)
と、漁船三隻をおろして、乗組員は、十六人をむかえにきた。
無人島に生きる十六人
(新字新仮名)
/
須川邦彦
(著)
そのどの船にも、
襤褸
(
ぼろ
)
が旗のように下っていた。褐色の破れた帆をあげた
伝馬船
(
てんません
)
が、港の方から、次ぎ次ぎに登って来た。
上海
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
朝靄
(
あさもや
)
を、
微風
(
びふう
)
が
吹
(
ふ
)
いて、さざら波のたった海面、くすんだ緑色の島々、
玩具
(
おもちゃ
)
のような
白帆
(
しらほ
)
、
伝馬船
(
てんません
)
、久し
振
(
ぶ
)
りにみる故国日本の姿は
綺麗
(
きれい
)
だった。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
悪漢どもはあわてふためいて、
伝馬船
(
てんません
)
をおろした。
若干
(
じゃっかん
)
の食物と数丁の武器と弾薬がかろうじてとりだすことができた。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
▼ もっと見る
紅白の幕で飾った会社の社員や関係者の家族の乗込んだ
伝馬船
(
てんません
)
で、シャツの上衣の良人が舷からガーゼの簡単着を着たこどもにおしっこをさせていますと
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
見物客を満載した
伝馬船
(
てんません
)
が約二十
艘
(
そう
)
、それらの間をおもいおもいな趣向にいろどった屋形船が、千姿万態の娘たちをひとりずつすだれの奥にちらつかさせて
右門捕物帖:17 へび使い小町
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
ですから、ロケットにひっぱられて、まるで大きい船のうしろに綱でむすびつけられている
伝馬船
(
てんません
)
のように、ロケットの飛ぶまにまに、あとからついていきます。
怪塔王
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
見ると、ヒラリ馬から飛びおりた左膳は、前から用意してあったらしく、そこにもやってある一艘の
伝馬船
(
てんません
)
へ乗り移ったかと思うとブツリ……綱を切り、沖をさして
漕
(
こ
)
ぎ出した。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
艀
(
はしけ
)
や
伝馬船
(
てんません
)
が
払底
(
ふってい
)
を告げて、廻船問屋は
血眼
(
ちまなこ
)
で船頭をひっぱり合っているし、人夫や
軽子
(
かるこ
)
の労銀は三割方も
暴騰
(
あが
)
ったというが、それでも手をあけている労働者は見あたらなかった。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
下水の落合つて川となつた流れは道に沿ひ坂の麓を
廻
(
めぐ
)
り流れ流れて行く
中
(
うち
)
に段々広くなつて、天然の河流又は海に落込むあたりになると
何
(
ど
)
うやら
此
(
か
)
うやら
伝馬船
(
てんません
)
を通はせる
位
(
くらゐ
)
になる。
水 附渡船
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
海竜丸の船ばたから
伝馬船
(
てんません
)
に乗り移って、川を一里十三丁さかのぼると、長さが二百十六
間
(
けん
)
もある、古風な木橋の下へ出る。この木橋の両端に、ひっそりした、二つの小さな部落がある。
南方郵信
(新字新仮名)
/
中村地平
(著)
海も空も地の上も戦火から
解放
(
かいほう
)
された終戦翌年の四月四日、この日朝はやく、一本松の村をこぎだした
一隻
(
いっせき
)
の
伝馬船
(
てんません
)
は、
紺
(
こん
)
がすりのモンペ姿のひとりのやせて年とった小さな女を乗せて
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
榊原
(
さかきばら
)
運転士は、
櫓
(
ろ
)
の達者な者四人をつれて、ごくろうだが、
伝馬船
(
てんません
)
で、岩まで引き返して、三角
筏
(
いかだ
)
に荷物をつみ、ここへひいてきてくれ。
無人島に生きる十六人
(新字新仮名)
/
須川邦彦
(著)
密輸入の
伝馬船
(
てんません
)
が真黒な帆を上げながら、並んだ倉庫の間から脱け出て来ると、魔のようにあたりいっぱいを暗くしてじりじり静に上っていった。
上海
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
なによりも縁起をかつぐ荷足り舟や
伝馬船
(
てんません
)
が、縁起でもない死体をのせたり運んだりするはずはないのです。
右門捕物帖:34 首つり五人男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
清い水は飲みほうだい、ぴちぴちした魚はたくさんとれる、ぼくらはここに住まいを定めることにした、
伝馬船
(
てんません
)
は浜辺づたいにひいてきて、川口につないだ。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
少し離れて
団平船
(
だんべいぶね
)
と、
伝馬船
(
てんません
)
三
艘
(
そう
)
とが
井桁
(
いげた
)
に歩び板を渡して、水上に高低の雪渓を慥えて
蹲
(
うずくま
)
っている。
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
隅田
(
すみだ
)
川の
濁流
(
だくりゅう
)
、ポンポン蒸汽、
伝馬船
(
てんません
)
、モオタアボオト等に囲まれ、せせこましい練習をしていた、ぼく達にとって、文字どおり、ドリイミング・コオスといった感じです。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
下水の落合って川となった流れは道に沿い坂の
麓
(
ふもと
)
を
廻
(
めぐ
)
り流れ流れて行く
中
(
うち
)
に段々広くなって、天然の河流または海に落込むあたりになるとどうやらこうやら
伝馬船
(
てんません
)
を通わせる位になる。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
太平洋のまんなかの波にうかぶ、小さな
伝馬船
(
てんません
)
には、風はすこし強すぎたが、雲の切れめにかがやく星をたよりに、波をおしわけて
漕
(
こ
)
いだ。
無人島に生きる十六人
(新字新仮名)
/
須川邦彦
(著)
ボートは長さ四メートルばかりの
伝馬船
(
てんません
)
で、
帆柱
(
ほばしら
)
は根元から折れ、
右舷
(
うげん
)
はひどく破れていた。きれぎれの帆と、
帆綱
(
ほづな
)
の断片がちらばっているばかりで、船中にはなにもなかった。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
元気のいい船頭をふたりほど雇うてな、舟足の軽い
伝馬船
(
てんません
)
を一艘用意してくれませんかな。いうまでもないことじゃが、おいしいものを見つくろって、晩のしたくも整えましてな。
右門捕物帖:13 足のある幽霊
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
私はその小女から、帆柱を横たえた和船型の大きな船を五大力ということだの、
木履
(
ぽっくり
)
のように膨れて黒いのは
達磨
(
だるま
)
ぶねということだの、
伝馬船
(
てんません
)
と
荷足
(
にた
)
り
船
(
ぶね
)
の区別をも教えて貰った。
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
“伝馬船”の意味
《名詞》
荷物の運搬に使用する小型の艀船。
(出典:Wiktionary)
“伝馬船”の解説
伝馬船(てんません)とは、近世から近代にかけての日本で用いられた小型の船。廻船などに搭載され、付属元の船(親船/本船)と陸上との間の荷役・連絡や漕走機能のない親船の出入港時の曳航などに用いた。艀(はしけ)・橋船(はしぶね、端船)・脚継船(あしつぎふね)などの別名がある。その用途は、現在のカッターボートに該当する。
(出典:Wikipedia)
伝
常用漢字
小4
部首:⼈
6画
馬
常用漢字
小2
部首:⾺
10画
船
常用漢字
小2
部首:⾈
11画
“伝馬”で始まる語句
伝馬
伝馬町
伝馬役
伝馬牢
伝馬番
伝馬河岸
伝馬町屋
伝馬町通
伝馬繋留