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令史
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れいし
令史間の
拔けた
事夥し。
呆れて
夜を
明すに、
山深うして
人を
見ず。
道を
尋ぬれば
家を
去ること
正に
八百里程。
三十日を
經て
辛うじて
歸る。
間もなく、衣冠の囚獄吏が、
令史、
府生、
獄丁などの下役をしたがえて、外にたたずみ
令史の
家に
駿馬あり。
無類の
逸物なり。
恆に
愛矜して
芻秣を
倍し、
頻に
豆を
食ましむれども、
日に
日に
痩疲れて
骨立甚だし。
擧家これを
怪みぬ。
寧ろ
死せざるを
怪むのみと。
令史驚いて
言ふやう、
我が
此の
馬はじめより
厩を
出さず
祕藏せり。
又家に
騎るべきものなし。
何ぞ
千里を
行くと
云ふや。