てい)” の例文
と、高時との会見にも、要心をおこたらなかったが、しかし会見は、定房ののぞみで、人交ぜもせず、石庭せきていていの一室でおこなわれた。
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「浦粕てい」という寄席よせや、諸雑貨洋品店、理髪店、銭湯、「山口屋」という本当の意味の料理屋——これはもっぱら町の旦那だんな方用であるが
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
あんとか、ていとか、ろうとか風流な名をつけた豪商の寮や、料理屋が、こんもりした樹立ちのなかに、洒落しゃれた屋根を見せている。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
夜番のそつが夜なかに城中を見まわると、城中の一つのていに火のひかりの洩れているのを発見したので、怪しんでその火をたずねてゆくと、そこには十余人の男と五
中食ちゆうじきはテストフてい料理店れうりてんはひつたが、こゝでもミハイル、アウエリヤヌヰチは、頬鬚ほゝひげでながら、やゝ少時しばらく品書しながき拈轉ひねくつて、料理店れうりやのやうに擧動ふるま愛食家風あいしよくかふう調子てうしで。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
をんな吃驚びつくり。——亭主ていしゆていふのではない。飛脚ひきやく丁隷ていれいである。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そこには泉殿いずみどのとよぶ一棟ひとむね水亭すいていがある。いずみてい障子しょうじにはあわい明かりがもれていた。その燈影とうえいは水にうつって、ものしずかな小波さざなみれている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして十日ほどのちに、私は浦粕ていでビールを飲みながら、留さんの女について、秋葉エンジから第一報を聞いた。
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
中食ちゅうじきはテストフてい料理店りょうりてんはいったが、ここでもミハイル、アウエリヤヌイチは、頬鬚ほおひげでながら、ややしばらく、品書しながき拈転ひねくって、料理店りょうりやのように挙動ふるま愛食家風あいしょくかふう調子ちょうしで。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「根戸川てい(洋食屋ではなく堀東にある寄席よせ)のおはまあねにれて、うまくすれば婿むこにおさまるつもりさね」
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
しかし、それに答えるいとまもないように、木蔭やていのまわりを、逃げる者と追う者の黒い影がみだれ合っていた。そのうちには、蔵人の供人ともびともまじっているらしかった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)