いひ)” の例文
石亭せきてい雲根志うんこんしに狐の玉のひかる事をいひしが、狐火は玉のひかるにもあらずかし。狐の玉といふ物の光ると常に見る狐火とは別なるべし。
せんと思ふ所にかくの如く住持ぢうぢなさけ深く教へてくれける故大いに悦び拜々有難う御座りますといひつゝ彼の位牌壇よりかべに有る足溜あしだまりへ足を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ある時翁の物がたりに、此ほど白氏はくし文集を見て、老鶯らうあういひ病蚕びやうさんといへる言葉のおもしろければ
芭蕉雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
若童うまれさせ給由承候たまひしよしうけたまはりさふらふ。目出たく覺へさふらふまことに今日は八日やうかにてさふらふも、かれいひこれいひ所願しよぐわんしほ(潮)の指す如く、春の野に華の開けるが如し。然れば、いそぎいそぎをつけたてまつる。
御台所まかなひし侍る横田といひし者、院主へ米五石御かし候へと申ければ、此山はむかしよりさやうのたくはへは多くし侍らず、坂本よりつゞけ候へば、無之よしまうされて
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
又右の紀に、辺土と中州をむかへいひしに依ては、此五字をつ国のとも訓べし。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
ここ宇宙の果よと星のいひ得ざる
鶴彬全川柳 (新字旧仮名) / 鶴彬(著)
嫌ひ一向に構ひ付ず睾丸きんたまも釣方とやら私し共でも得心せぬ故長屋の泥工さくわん棟梁とうりやうは年頃といひ人も尊敬そんきやうする者なれば此者を以て勘太郎は店立たなだて
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
土芳とはういふ、翁いはく、学ぶ事は常にあり。席に臨んで文台と我とかんはつを入れず。思ふことすみやかいひいでて、ここいたりてまよふ念なし。文台引おろせば即反故ほごなりときびしく示さるることばもあり。
芭蕉雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
よき屋敷やしき方へ御奉公に差上るなりといひすゝ彼惡婆かのあくばのお定を三次が出入の御屋敷の老女と爲し御取替とりかへ金などと僞りてわづかの金子をお安に與へ妹娘のお富を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)