“えたい”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:エタイ
語句割合
得体43.0%
得態18.4%
異体14.9%
為体5.3%
形態4.4%
得體4.4%
形体2.6%
会体2.6%
似体0.9%
0.9%
本體0.9%
正体0.9%
正體0.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そうこたえながら女中は、昨晩おそく着いて来た、ちょっと得体えたいの知れないこの美しい婦人の素性すじょうを探ろうとするように注意深い目をやった。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
もつとも、この熱さましの頓服と云ふのは、銭惜しみする妻が近くの薬局で調合させた得態えたいの知れぬ安物なので、効き目なぞ怪しいのだらう。
現代詩 (新字旧仮名) / 武田麟太郎(著)
「何だい、これは、食物には違えねえが、異体えたいが知れねえ」
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
誰やら為体えたいが分りませぬ。われわれどもが、今日のお迎えのため、勢揃いして山上からおりてまいると、途中一名の浪人者が、馬をつないで路上に鼾睡かんすいしています。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして私の胸の底から、何だか形態えたいの知れない強暴なものが、むらむらと湧き上ってくる。何物へでもよいから、力一杯にぶつかってゆきたくなる。
悪夢 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
およそ得體えたいのわからないものほど恐ろしいものはない。人が幽靈を恐れるのは、そのものの正體がわからないからである。
散文詩・詩的散文 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
泣いてよいか笑ってよいか形体えたいの知れない感情が、昌作の胸の中一杯になった。それでも彼は行かなければならなかった。
野ざらし (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
「こんな苦痛をハッキリ味わわねばならないってのは、何て惨酷なことだろう。それよりも、もっとひどい苦痛を、もっとぼんやりの方がいいのに」などと、会体えたいの知れぬことを感じるのであった。
海に生くる人々 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
それから十二時も過ぎて午前一時までに二三組の客を送迎した登恵子は、最後に勤人とも何とも似体えたいの知れぬ洋服の客を受け持った。
女給 (新字新仮名) / 細井和喜蔵(著)
秀調の針妙水無瀬しんみょうみなせは小町の難義を救ふ役なるが、作者がえたいの知れぬものを拵へしため、やっこの小万が戸迷とまどひをしたといふ形あり。
二三日以來の本體えたいの分らぬ物狂はしい思ひは、彼れをして少しの間死の恐しさを忘れさせた。
仮面 (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
例えば、蟹だか蛸だか鮟鱇あんこうだか正体えたいの判らぬ魚を眼前めさきへ突き付けて、「さあ、これうまく食わしてれ」と云われては、大抵の料理番もいささ逡巡たじろぐであろう。いわんや素人の小生に於てをや。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
其他そのた正體えたいれぬものにがいされたりした子供こどもはなし種々いろ/\んでゐたからです。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)