形体えたい)” の例文
旧字:形體
彼は何だか形体えたいの知れない壁にぶつかったようで、息苦しさまで覚えた。「つきぬけなければならない、つきぬけることが必要だ、」
野ざらし (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
泣いてよいか笑ってよいか形体えたいの知れない感情が、昌作の胸の中一杯になった。それでも彼は行かなければならなかった。
野ざらし (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
それらの一部分ずつ含んだ形体えたいの知れない感情だった。姉として、異性として、女友達として、慰安者として、保護者として……なつかしみ慕う、というばかりでもなかった。
反抗 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
ふいに形体えたいの知れない忿懣の情に駆られた。
立枯れ (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)