もつと曖昧模糊たる異体の知れぬ混沌状態に於てなりと、とにかく蕗子を他人の手をかりてまでも堕落せしめ、情痴の坩堝の中へ落し
「何だい、これは、食物には違えねえが、異体が知れねえ」
まるで僕には異体の分らぬ何かを考へてゐるのぢやないかと思つてゐたのだがね、あのとき何を考へてゐるのか、教へて貰ふわけに行かないかね
かと思ふと、ヂッとかう、人の気持を底の底まで見抜くやうな油断のならない目付をする。異体の知れない奴である。
女から逃れたといふよりも、もつと大きな異体の知れない圧迫に脅やかされて、夢中に逃げだしたといふ形だつた。
“異体”の意味
“異体”で始まる語句