形態えたい)” の例文
まだ形態えたいも知れない笹木の話に、溺れる者が藁屑をでも掴むように、すぐに希望を投げかけていってるじゃないか……。
神棚 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
そして私の胸の底から、何だか形態えたいの知れない強暴なものが、むらむらと湧き上ってくる。何物へでもよいから、力一杯にぶつかってゆきたくなる。
悪夢 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
形態えたいの知れない反抗心が湧き起ってきた。前に考えたことがみなひっくり返ってしまい、皆から馬鹿にされ、恥しい目に逢った、とそんな気がした。
すると、森の大きな真黒い影が……というほどはっきりしたものではなく、何かこう形態えたいの知れない不気味な影が、同じ早さですぐ背後にくっついてくる。
道連 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
万年筆、鉛筆、紙切ナイフ、補助の眼鏡、古い懐中時計、ネクタイピン、原稿紙の上にのってた形態えたいの知れない鉄塊など、ごくありふれたがらくたが、遺骨の代りになったのである。
そのうちに私達は、或る形態えたいの知れない圧迫を外部から感ずるようになった。