ころ)” の例文
新字:
また偶時たまには、うツかり足を踏滑らして、川へはまり田へころげ、濡鼠ぬれねずみのやうになツて歸ツた事もあツたが、中々其樣な事にこりはしない。
水郷 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
驚いて飛付いたドア、力任せに引くと、部屋の中にころげ込んだのはなんとあの青磁色の洋装——幽里子の息もたえだえの姿だったのです。
大豆打でえづぶちにかつころがつたてえに面中つらぢうめどだらけにしてなあ」剽輕へうきん相手あひてます/\惡口あくこうたくましくした。群衆ぐんしふ一聲ひとこゑをはごとわらひどよめいた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
みゝまくらからはなしてかんがへると、それはあるおほきなおもいものがうらがけから自分達じぶんたちてゐる座敷ざしきえんそところがりちたとしかおもはれなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
このながれにいてけば、梯子段はしごだんころがりちる氣遣きづかひもなし!うちみンながどのくらゐわたし大膽だいたんだとおもふでせう!さうだ、斯麽こんなことなんにもはなすまい
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
すさまじいあられおと八方はつぱうから亂打みだれうつや、大屋根おほやねいしもから/\ところげさうで、くもうづまかげはひつて、洋燈ランプかさくらつた。
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ある午後ごゞ。ぱちツと不思議ふしぎをとがしました。さやけたのです。まめみゝをおさえたなり、べたにころげだしました。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
そのうへしろゆきでもふりかゝると氷滑こほりすべりの塲所ばしよともわからないことがあります。むら人達ひとたちとほりかゝつて、らずにすべつてころぶことなぞもありました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
お灸をつけておくれといふと大きく丸めて火をつけて、わざと背中をころがす——がまんしてゐると、ますます大きくしてあつがるかと樣子を見てゐる。
お灸 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
その所爲せゐでもあるまいが、校長に何か宿直の出來ぬ事故のある日には、此木田訓導に屹度差支へがある。代理の役は何時でも代用教員の甲田にころんだ。
葉書 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
娘の初枝が十二の冬、村の小學校への往きがけに、みついた雪の上に誰かに突きころがされたやうにころんで、それがもとで脊髓を患ふやうになつた。
ふるさとびと (旧字旧仮名) / 堀辰雄(著)
靜かな晝のお葬式ともらひに、あの取澄とりすました納所坊主の折々ぐわららんと鳴らす鐃鈸ねうはちの音を聽いたばかりでも笑ひころ
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
一番いちばんはじめにあるのは、いはゆる『原石器げんせつき』としようするものでありまして、これはちょっとたところでは、そのへんころがつてゐるいし破片はへんすこしもかはらない
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
「讃辭は、私には何にもならない。私は自分で判斷します。この人は、手始めに私の馬をころばしたんです。」
其處そこでもかれ宿やどからずに、終日しゆうじつ相變あひかはらず長椅子ながいすうへころがり、相變あひかはらずとも擧動きよどう愛想あいさうかしてゐる。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
心丈夫こゝろじようぶ車夫しやふかほれば二十五六のいろくろく、小男こをとこせぎす、あ、つきそむけたあのかほれやらでつた、れやらにるとひと咽元のどもとまでころがりながら
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
りながら何の御禮に及びませうぞそれ其處そこ水溜みづたまり此處には石がころげ有りと飽迄あくまでお安に安心させ何處どこ連行つれゆきばらさんかと心の内に目算しつゝ麹町をもとくすぎて初夜のかね
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
その時の弟子の恰好は、まるで酒甕をころがしたやうだとでも申しませうか。何しろ手も足も慘たらしく折り曲げられて居りますから、動くのは唯首ばかりでございます。
地獄変 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
此莊園でラクダルはゴロリところがつたまゝ身動みうごきもろくにず、手足てあしをダラリのばしたまゝ一言ひとことくちひらかず、たゞ茫乎ぼんやりがな一日いちにちねんから年中ねんぢゆうときおくつてるのである。
怠惰屋の弟子入り (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
「わしも一町や二町、あれで乘りましたやろ。駕籠の側離れると病人がわめき出してころげ出さうとするもんやよつて、到頭駕籠脇かごわき武士さむらひみたいなことを初めて勤めてしまうた。」
天満宮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
土版どばん完全くわんぜんちか土器どきなど、ごろ/\ころがりし、磨製石斧ませいせきふなどは、いくらでもつた。
ゆきおほはれたそのくづしの斜面しやめんに、けもの足跡あしあとが、二筋ふたすぢについてゐるのは、いぬなにかゞりたのであらう、それとも、雪崩なだれになつてころりてかたまりのはしつたあとでもあらうかと
日の光を浴びて (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
「この山には赤いいのししがいる。わたしたちが追いくだすからお前が待ちうけて捕えろ。もしそうしないと、きつとお前を殺してしまう」と言つて、いのししに似ている大きな石を火で燒いてころがし落しました。
余は只粗製石棒中のる者はメキシコにける石棒いしばうひとしく、石製の臺上だいじやうに横たへころばしてもちの類を延すに用ゐられしなるべく、精製石棒中せい/\いしばうちうの或る者はニウジーランドに於ける精巧せいこうなる石噐の如く
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
とんとんとびつこころびやせぬ
赤い旗 (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
繪踏ゑぶみせよ、ころべ、ころべと
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
打つ危ない馬車に乘らるべきかほかに馬車なくば破談にすべしと云へばナニお客樣途中でこはれるやうな事はございませんこはれても上の屋根だけですからころがり落る程の事は有ませんサアお乘りなさいと二十三四の馬丁べつたう平氣なれば餘義なくこれに乘る二十三四の小慧こざかしやつ客を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
幸い夜をいましめる羅卒らそつにも逢わず、ようやく阿部川町の家に辿り着いた綾麿は、綿の如く疲れて居りました。格子を開けてころげ込むと
おつぎは勘次かんじないとき牝鷄めんどり消魂けたゝましくいてればぐにとやのぞいてあたゝかいたまごひとつをつて卯平うへいむしろころがしてやることもあつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
うなると、狼狽うろたへる、あわてる、たしかに半分は夢中になツて、つまずくやらころぶやらといふ鹽梅あんばいで、たゞむやみと先を急いだが、さてうしても村道へ出ない。
水郷 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
……酒氣しゆき天井てんじやうくのではない、いんこもつてたゝみけこげをころ𢌞まはる。あつかんごと惡醉あくすゐたけなはなる最中さいちう
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
先刻さつきジョンになぐられてころんで怪我をした私の頭は、未だに痛みがまず、血が流れてゐた。ジョンが、無法な打擲ちやうちやくの手を私に加へても、たしなめる者も無いのだ。
それから一直線いつちよくせんりて、丁度ちやうど自分じぶんつてゐる縁鼻えんばなつちが、霜柱しもばしらくだいたやうれてゐた。宗助そうすけおほきないぬでもうへからころがりちたのぢやなからうかとおもつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
かうした石斧せきふなどをさがすのには、はたけころがつてゐるいし片端かたはしから調しらべてるとか、はたけそば小溝こみぞなか石塊いしころとか、あぜまれたいしなか熱心ねつしんさがすにかぎります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
圍爐裡ゐろりの火の中へ押込おしこみ如何にも酒に醉潰ゑひつぶころげ込で燒死やけじにたる樣にこしらへたれば知者しるもの更になし寶澤はあらぬていにて感應院へかへり師匠へもばゝがあつれいを申せしと其場を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
鳶口とびぐちにしながらさかうへはうからすべりますと、ツーイ/\と面白おもしろいやうに身體からだきました。もしかすべそこねて鳶口とびぐち身體からださゝそこねた塲合ばあひにはゆきなかころげこみます。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
十二月三十日じふにぐわつさんじふにちきち坂上さかうへ得意場とくいばあつらへの日限にちげんおくれしをびにきて、かへりは懷手ふところでいそあし草履ざうり下駄げたさきにかゝるものは面白おもしろづくにかへして、ころ/\ところげる
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
檢死けんしおこなはれない事情じじやうがあつて、死體したい菰包こもづつみのまゝ十日とをかちかくもころがしてあつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
いままで注意ちういせずに何度なんども/\あるいて其路そのみちから、三千ねんぜん遺物ゐぶつ幾個いくことなく發見はつけんするので、んだか金剛石こんがうせきがゴロ/\足下あしもところがつてやう氣持きもちまでして、うれしくてたまらなかつた。
無數の小さな河魚は醉つぱらつて浮き上り、酒の流れに口をつけて飮んだ人は泥醉して僅に燒け殘つた母家おもやころがり込み、金箔の古ぼけた大きな佛壇の扉をがしたり歌つたり踊つたりした。
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
こと/″\くやめてごろりころがるとがつかりして身體からだけるやうながした。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
刄物——が死骸の側にころがつて居れば、すぐ自殺とわかつてしまひますから、よく馴れた白犬しろひもを變へ、自分の首筋を斬つた苦しい中から
野郎やらうこんなせはしいときころがりみやがつてくたばるつもりでもあんべえ」と卯平うへい平生へいぜいになくんなことをいつた。勘次かんじあとひといた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
捻向ねぢむいて、痩按摩やせあんまこしかゞめながら、ちやう足許あしもとに一だいあつた……瓦斯燈がすとうを、其處そこころがつた、ごろたいしなりにカチ/\とつゑらした。がおとひゞかず、もやしづむ。
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
かぜゆき水車小屋すゐしやごやまつてしまひさうなました。いし毎日まいにちすわつてるどころか、どうかするとかぜばされて、板屋根いたやねうへからころがりちさうにりました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
附て道中をなされましとはなしながらに行所を此所こなた松陰まつかげより忽然ぬつと出たる畔倉重四郎ものをも云ずうまうへなる飛脚の片足かたあしをばつさりと切付きりつけたり飛脚はアツと馬よりころげ落るを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
はづかしいおちましていまうちもの御座ござりませぬ、寐處ねどころ淺草町あさくさまち安宿やすやど村田むらたといふが二かいころがつて、ひたとき今夜こんやのやうにおそくまでこともありまするし
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そして幾箇いくつの橋を渡ツて幾度道を回ツたか知らぬが、ふいに、石か何かにつまづいて、よろ/\として、あぶなころびさうになるのを、辛而やつと踏止ふみとまツたが、それですツかりが覺めて了ツた。
水郷 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
たはむれに枯草かれくさうつした子供等こどもらは、はるかにえる大勢おほぜい武士ぶし姿すがたおそれて、周章あわてながらさうと、青松葉あをまつばえだたゝくやら、えてゐるくさうへころがるやらして、しきりにさわいでゐた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
子供は膝からころげ落ち、私は平均を失つて、落ち、それで眼が覺めたのでした。