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田舍
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ゐなか
ふりがな文庫
“
田舍
(
ゐなか
)” の例文
新字:
田舎
つく/″\と小池は、
田舍
(
ゐなか
)
の小ひさな町に住みながら東京風の生活に
憧
(
あこが
)
れて、無駄な物入りに苦んでゐるらしい
母子
(
おやこ
)
の
樣子
(
やうす
)
を考へた。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
然
(
さ
)
うですね、
年少
(
としわか
)
な
田舍
(
ゐなか
)
の
大盡
(
だいじん
)
が、
相場
(
さうば
)
に
掛
(
かゝ
)
つて
失敗
(
しつぱい
)
でもしたか、
婦
(
をんな
)
に
引掛
(
ひつかゝ
)
つて
酷
(
ひど
)
く
費消
(
つかひ
)
過
(
す
)
ぎた……とでも
云
(
い
)
ふのかと
見
(
み
)
える
樣子
(
やうす
)
です。
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
父
(
とう
)
さんの
田舍
(
ゐなか
)
では、
夕方
(
ゆふがた
)
になると
夜鷹
(
よたか
)
といふ
鳥
(
とり
)
が
空
(
そら
)
を
飛
(
と
)
びました。その
夜鷹
(
よたか
)
の
出
(
で
)
る
時分
(
じぶん
)
には、
蝙蝠
(
かうもり
)
までが一
緒
(
しよ
)
に
舞
(
ま
)
ひ
出
(
だ
)
しました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
昔
(
むかし
)
の
人
(
ひと
)
は、
今日
(
こんにち
)
田舍
(
ゐなか
)
の
樵
(
きこり
)
や
農夫
(
のうふ
)
が
山
(
やま
)
へ
行
(
ゆ
)
く
時
(
とき
)
に、
鎌
(
かま
)
や
斧
(
をの
)
を
腰
(
こし
)
に
着
(
つ
)
けてゐるように、きっと
何
(
なに
)
か
刃物
(
はもの
)
を
持
(
も
)
つてゐたものと
思
(
おも
)
ひます。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
彼
(
かれ
)
は
夏休
(
なつやす
)
み
前
(
まへ
)
から、
少
(
すこ
)
し
閑靜
(
かんせい
)
な
町外
(
まちはづ
)
れへ
移
(
うつ
)
つて
勉強
(
べんきやう
)
する
積
(
つもり
)
だとか
云
(
い
)
つて、わざ/\
此
(
この
)
不便
(
ふべん
)
な
村同樣
(
むらどうやう
)
な
田舍
(
ゐなか
)
へ
引込
(
ひつこ
)
んだのである。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
厭
(
いと
)
ひ
加之
(
そのうへ
)
田舍
(
ゐなか
)
は
物固
(
ものがた
)
くして四十九日立ざる中は
大精進
(
だいしやうじん
)
にて
魚類
(
ぎよるゐ
)
を食する事能はず
然
(
され
)
ども半四郎は元來大酒にして又
肴
(
さかな
)
は魚類を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
勝手
(
かつて
)
ばたらきの
女子
(
をんな
)
ども
可笑
(
をか
)
しがりて、
東京
(
とうきやう
)
は
鬼
(
おに
)
の
住
(
す
)
む
處
(
ところ
)
でもなきを、
土地
(
とち
)
なれねば
彼
(
あ
)
のやうに
怕
(
こは
)
きものかと、
美事
(
みごと
)
田舍
(
ゐなか
)
ものにしてのけられぬ。
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「猫又よ、やよ猫又よと申しければ……」と、先生はその中の一句を、
田舍
(
ゐなか
)
訛
(
なま
)
りの可笑しな抑揚で高らかに讀み上げた。みんながどつと笑ひ崩れた。
猫又先生
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
今市より北折して會津へ至る道も、
神々
(
かう/\
)
しさは餘程缺けるが同じく杉並木が暫くは續く。
田舍
(
ゐなか
)
びて好い路で、菅笠
冠
(
かぶ
)
つた人でも通りさうな氣がする。
華厳滝
(旧字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
『
然
(
しか
)
し
我々
(
われ/\
)
は
隨分酷
(
ずゐぶんひど
)
い
田舍
(
ゐなか
)
に
引込
(
ひつこ
)
んだものさ、
殘念
(
ざんねん
)
なのは、
這麼處
(
こんなところ
)
で
往生
(
わうじやう
)
をするのかと
思
(
おも
)
ふと、あゝ……。』
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
人々
(
ひと/″\
)
が
餘程
(
よほど
)
の
田舍
(
ゐなか
)
にゐても
住
(
す
)
めば
都
(
みやこ
)
で、それ/″\たのしくをさまつてゐるのと
同
(
おな
)
じように、
植物
(
しよくぶつ
)
も
𤍠
(
あつ
)
いところであらうと、
寒
(
さむ
)
いところであらうと、
生育
(
せいいく
)
出來
(
でき
)
る
限
(
かぎ
)
りそれ/″\
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
「お前は
田舍
(
ゐなか
)
から出たばかりの内海に智慧をつけられて、世間を面白づくめに見てゐるやうだが、この先いろんな人に觸れるたびにます/\
家
(
うち
)
の窓の外へ目がつくやうになるだらう。」
仮面
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
湯原
(
ゆがはら
)
の
温泉宿
(
をんせんやど
)
中西屋
(
なかにしや
)
の
女中
(
ぢよちゆう
)
である!
今
(
いま
)
僕
(
ぼく
)
の
斯
(
か
)
う
筆
(
ふで
)
を
執
(
と
)
つて
居
(
を
)
る
家
(
うち
)
の
女中
(
ぢよちゆう
)
である!
田舍
(
ゐなか
)
の
百姓
(
ひやくしやう
)
の
娘
(
むすめ
)
である!
小田原
(
をだはら
)
は
大都會
(
だいとくわい
)
と
心得
(
こゝろえ
)
て
居
(
ゐ
)
る
田舍娘
(
ゐなかむすめ
)
! この
娘
(
むすめ
)
を
僕
(
ぼく
)
が
知
(
し
)
つたのは
昨年
(
さくねん
)
の
夏
(
なつ
)
湯ヶ原より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
それは
席
(
せき
)
の
末座
(
まつざ
)
に
列
(
つらな
)
つて
居
(
を
)
つた
一個
(
ひとり
)
の
年老
(
としをい
)
たる
伊太利
(
イタリー
)
の
婦人
(
ふじん
)
で、
此
(
この
)
女
(
をんな
)
は
日出雄少年
(
ひでをせうねん
)
の
保姆
(
うば
)
にと、
久
(
ひさ
)
しき
以前
(
いぜん
)
に、
遠
(
とほ
)
き
田舍
(
ゐなか
)
から
雇入
(
やとひい
)
れた
女
(
をんな
)
の
相
(
さう
)
で、
背
(
せ
)
の
低
(
ひく
)
い、
白髮
(
しらがあたま
)
の、
極
(
ご
)
く
正直
(
しやうじき
)
相
(
さう
)
な
老女
(
らうぢよ
)
であるが
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
些
(
すこし
)
も勞れ不
レ
申、朝暮は是非散歩いたし候樣承り候得共、小
網
(
あみ
)
町に而は始終
相調
(
あひかなひ
)
不
レ
申候處、青山之
極
(
ごく
)
田舍
(
ゐなか
)
に
信吾
(
しんご
)
之屋敷御座候間、其宅を
借
(
かり
)
養生中に御座候間、朝暮は駒場野は
纔
(
わづか
)
四五町も有
レ
之候故
遺牘
(旧字旧仮名)
/
西郷隆盛
(著)
父
(
とう
)
さんの
生
(
うま
)
れた
田舍
(
ゐなか
)
は
美濃
(
みの
)
の
方
(
はう
)
へ
降
(
お
)
りようとする
峠
(
たうげ
)
の
上
(
うへ
)
にありましたから、お
家
(
うち
)
のお
座敷
(
ざしき
)
からでもお
隣
(
となり
)
の
國
(
くに
)
が
山
(
やま
)
の
向
(
むか
)
ふの
方
(
はう
)
に
見
(
み
)
えました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
以前
(
いぜん
)
、
何
(
なに
)
かに
私
(
わたし
)
が、「
田舍
(
ゐなか
)
から、はじめて
新橋
(
しんばし
)
へ
着
(
つ
)
いた
椋鳥
(
むくどり
)
が
一羽
(
いちは
)
。」とか
書
(
か
)
いたのを、
紅葉先生
(
こうえふせんせい
)
が
見
(
み
)
て
笑
(
わら
)
ひなすつた
事
(
こと
)
がある。
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
私
(
わたし
)
は
日本
(
につぽん
)
においても、
文化
(
ぶんか
)
の
進
(
すゝ
)
むに
從
(
したが
)
つて、
田舍
(
ゐなか
)
にある
古
(
ふる
)
い
風俗
(
ふうぞく
)
や
道具類
(
どうぐるい
)
が、
次第
(
しだい
)
に
滅
(
ほろ
)
び
行
(
ゆ
)
くことを
殘念
(
ざんねん
)
に
思
(
おも
)
ふので
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
一人がくすりと笑つた、續いてまた一人がくすりと笑つた。先生の詞には東北生れらしい怪しげな
田舍
(
ゐなか
)
訛
(
なま
)
りと、それから起る變てこなアクセントが隱れてゐた。
猫又先生
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
始終
(
しじう
)
人間
(
にんげん
)
の
作
(
つく
)
つた
都會
(
とくわい
)
の
中
(
なか
)
ばかりを
駕籠
(
かご
)
で
往來
(
わうらい
)
してゐた
玄竹
(
げんちく
)
が、
神
(
かみ
)
の
作
(
つく
)
つた
田舍
(
ゐなか
)
の
氣
(
き
)
を
心
(
こゝろ
)
ゆくまで
吸
(
す
)
つた
時
(
とき
)
は、ほんたうの
人間
(
にんげん
)
といふものがこれであるかと
考
(
かんが
)
へた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
立出で二三
町
(
ちやう
)
來
(
きた
)
りけるに
跡
(
あと
)
より申し/\と
呼掛
(
よびかけ
)
る者有故
振返
(
ふりかへ
)
るに
田舍
(
ゐなか
)
にて
見覺
(
みおぼ
)
えあるお
竹
(
たけ
)
と云し女なり此女は
金屋
(
かなや
)
井筒屋
(
ゐづつや
)
へ出入なす
織物屋
(
おりものや
)
の娘にて利兵衞が江戸へ
店
(
みせ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
田舍
(
ゐなか
)
に
居
(
を
)
りし
時
(
とき
)
は
先生
(
せんせい
)
なりし
故
(
ゆゑ
)
、
其和歌
(
そのわか
)
を
姉樣
(
ねえさま
)
にお
目
(
め
)
にかけて
驚
(
おどろ
)
かし
給
(
たま
)
へ、
夫
(
それ
)
こそ
必
(
かな
)
らず
若樣
(
わかさま
)
の
勝
(
かち
)
に
成
(
な
)
るべしと
言
(
い
)
へば、
早
(
はや
)
く
其歌
(
そのうた
)
を
詠
(
よ
)
めとせがむに
懷中
(
ふところ
)
より
彼
(
か
)
の
綴
(
と
)
ぢ
文
(
ぶみ
)
を
出
(
いだ
)
し
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
そりや
高
(
たか
)
いよ
幾何々々
(
いくら/\
)
に
御負
(
おま
)
けなどゝ
云
(
い
)
はれると、「
値
(
ね
)
ぢやねえね」とか、「
拜
(
をが
)
むからそれで
買
(
か
)
つて
御呉
(
おく
)
れ」とか、「まあ
目方
(
めかた
)
を
見
(
み
)
て
御呉
(
おく
)
れ」とか
凡
(
すべ
)
て
異樣
(
いやう
)
な
田舍
(
ゐなか
)
びた
答
(
こたへ
)
をした。その
度
(
たび
)
に
皆
(
みんな
)
が
笑
(
わら
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
そして
其
(
そ
)
の
人買
(
ひとかひ
)
の
手
(
て
)
から
離
(
はな
)
れましたのは、
此
(
こ
)
の
邊
(
へん
)
からは、
遠
(
とほ
)
いか、
形
(
かたち
)
も
見
(
み
)
えません、
高
(
たか
)
い
山
(
やま
)
の
裾
(
すそ
)
にある、
田舍
(
ゐなか
)
のお
醫師
(
いしや
)
の
家
(
いへ
)
でございました。
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
どこの
田舍
(
ゐなか
)
にもあるやうに、
父
(
とう
)
さんの
村
(
むら
)
でも
家毎
(
いへごと
)
に
屋號
(
やがう
)
がありました。
大黒屋
(
だいこくや
)
、
俵屋
(
たはらや
)
、
八幡屋
(
やはたや
)
、
和泉屋
(
いづみや
)
、
笹屋
(
さゝや
)
、それから
扇屋
(
あふぎや
)
といふやうに。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
それらは
今日
(
こんにち
)
でも
田舍
(
ゐなか
)
において
見
(
み
)
かけます
物置
(
ものお
)
きとか、
肥料入
(
ひりようい
)
れの
納家
(
なや
)
のような
簡單
(
かんたん
)
な
小屋
(
こや
)
がありますが、まあ、それと
大
(
たい
)
した
相違
(
そうい
)
のない
程度
(
ていど
)
のものと
思
(
おも
)
はれます。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
所持なし
出店
(
でだな
)
親類又は番頭若い者に至る迄大勢召仕ひ
豐
(
ゆたか
)
に世を
送
(
おく
)
りけるが一人の
悴
(
せがれ
)
吉之助とて
今年
(
ことし
)
十九歳
人品
(
じんぴん
)
能
(
よき
)
生
(
うま
)
れにて父母の
寵愛
(
ちようあい
)
限
(
かぎ
)
りなく
然
(
さ
)
れども
田舍
(
ゐなか
)
の事なれば
遊藝
(
いうげい
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
この
樣
(
やう
)
の
取次
(
とりつぎ
)
するなとさへ
仰
(
おつ
)
しやりし
無情
(
つれな
)
さ、これ
程
(
ほど
)
の
耻
(
はぢ
)
を
見
(
み
)
て
我
(
わ
)
れ
男
(
をとこ
)
の
身
(
み
)
の、をめをめお
邸
(
やしき
)
に
居
(
を
)
られねば、
暇
(
いとま
)
を
賜
(
たま
)
はりて
歸國
(
きこく
)
すべけれど、
聞
(
き
)
き
給
(
たま
)
へ
我
(
わ
)
れ
田舍
(
ゐなか
)
には
兩親
(
りやうしん
)
もなく
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
遠
(
とほ
)
い
山
(
やま
)
の、
田舍
(
ゐなか
)
の
雪
(
ゆき
)
の
中
(
なか
)
で、おなじ
節分
(
せつぶん
)
の
夜
(
よ
)
に、
三年
(
さんねん
)
續
(
つゞ
)
けて
火
(
ひ
)
の
過失
(
あやまち
)
をした、
心
(
こゝろ
)
さびしい、もの
恐
(
おそ
)
ろしい
覺
(
おぼ
)
えがある。いつも
表二階
(
おもてにかい
)
の
炬燵
(
こたつ
)
から。
火の用心の事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
田舍
(
ゐなか
)
づくりの
籠花活
(
かごはないけ
)
に、
一寸
(
いつすん
)
(たつた)も
見
(
み
)
える。
内々
(
ない/\
)
一聲
(
ひとこゑ
)
ほとゝぎすでも
聞
(
き
)
けようと
思
(
おも
)
ふと、
何
(
ど
)
うして……いとが
鳴
(
な
)
ると
立所
(
たちどころ
)
に
銀座
(
ぎんざ
)
の
柳
(
やなぎ
)
である。
木菟俗見
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
……
田舍
(
ゐなか
)
づくりの、かご
花活
(
はないけ
)
に、づツぷりぬれし
水色
(
みづいろ
)
の、たつたを
活
(
い
)
けし
樂
(
たの
)
しさは、
心
(
こゝろ
)
の
憂
(
う
)
さもどこへやら……
木菟俗見
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
と
緊乎
(
しつかり
)
と
手
(
て
)
を
取
(
と
)
る、と
急
(
きふ
)
に
樣子
(
やうす
)
が
變
(
かは
)
つて、
目
(
め
)
をしばたゝいたのが、
田舍
(
ゐなか
)
の
娘
(
むすめ
)
には、
十分
(
じふぶん
)
愁
(
うれひ
)
が
利
(
き
)
いたから、
惚拔
(
ほれぬ
)
いて
居
(
ゐ
)
る
男
(
をとこ
)
の
事
(
こと
)
、お
秋
(
あき
)
は
出來
(
でき
)
ぬ
中
(
うち
)
にも
考慮
(
しあん
)
して
一席話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
行
(
ゆ
)
く
事
(
こと
)
小半里
(
こはんみち
)
、
田舍
(
ゐなか
)
ながら
大構
(
おほがま
)
への、
見上
(
みあ
)
げるやうな
黒門
(
くろもん
)
の
中
(
なか
)
へ、
轍
(
わだち
)
のあとをする/\と
車
(
くるま
)
が
隱
(
かく
)
れる。
麦搗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
江戸兒夥間
(
えどつこなかま
)
だと、
氣
(
き
)
をつけろい、ぢやんがら
仙人
(
せんにん
)
、
何處
(
どこ
)
の
雨乞
(
あまごひ
)
から
來
(
き
)
やあがつた、で、
無事
(
ぶじ
)
に
濟
(
す
)
むべきものではないが、
三代相傳
(
さんだいさうでん
)
の
江戸兒
(
えどつこ
)
は、
田舍
(
ゐなか
)
ものだ、と
斷
(
ことわ
)
る
上
(
うへ
)
は
銭湯
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
と
思
(
おも
)
ふと、やがて
保養
(
ほやう
)
とあつて、
實家方
(
さとかた
)
へ、
歸
(
かへ
)
つたのである。が、あはれ、
此
(
こ
)
の
婦人
(
ふじん
)
も
自殺
(
じさつ
)
した。それは
昔
(
むかし
)
、さりながら、
田舍
(
ゐなか
)
ものの
※々
(
づう/\
)
しいのは、
今
(
いま
)
も
何
(
なに
)
よりも
可恐
(
おそろ
)
しい。
二た面
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
從
(
したが
)
つて、
其
(
そ
)
の
頃
(
ころ
)
の
巷談
(
こうだん
)
には、
車夫
(
くるまや
)
の
色男
(
いろをとこ
)
が
澤山
(
たくさん
)
あつた。
一寸
(
ちよつと
)
岡惚
(
をかぼれ
)
をされることは、やがて
田舍
(
ゐなか
)
まはりの
賣藥行商
(
ばいやくぎやうしやう
)
、
後
(
のち
)
に
自動車
(
じどうしや
)
の
運轉手
(
うんてんしゆ
)
に
讓
(
ゆづ
)
らない。
立志
(
りつし
)
美談
(
びだん
)
車夫
(
しやふ
)
の
何
(
なん
)
とかがざらにあつた。
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
壁
(
かべ
)
と
障子
(
しやうじ
)
の
穴
(
あな
)
だらけな
中
(
なか
)
で、
先生
(
せんせい
)
は
一驚
(
いつきやう
)
をきつして、「
何
(
なん
)
だい、これは。——
田舍
(
ゐなか
)
から、
内證
(
ないしよう
)
で
嫁
(
よめ
)
でもくるのかい。」「へい。」「
馬
(
うま
)
のくらに
敷
(
し
)
くやうだな。」「えへゝ。」
私
(
わたし
)
も
弱
(
よわ
)
つて
火の用心の事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
田舍
(
ゐなか
)
の
事
(
こと
)
で、
別
(
べつ
)
に
此
(
これ
)
と
云
(
い
)
ふ
垣根
(
かきね
)
もありません。
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
田
常用漢字
小1
部首:⽥
5画
舍
部首:⾆
8画
“田舍”で始まる語句
田舍者
田舍娘
田舍人
田舍訛
田舍風
田舍物
田舍語部
田舍唄
田舍育
田舍家