饒舌おしやべり)” の例文
其處へ饒舌おしやべりの叔母が子供達と共に泊りに來たのが、今朝も信吾は其叔母に捉まつて出懸けかねた。吉野は昌作を伴れて出懸けた。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
「二枚だよ。」などゝ私の分まで切つてしまふと、決して私が言葉をいれる余地が無いほどの饒舌おしやべりを続けるのであつた。
競馬の日 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
楽になつたとお喜びなさろうか、それとも折ふしはあの話し好きの饒舌おしやべりのさわがしい人が居なくなつたで、少しは淋しい位に思ひ出して下さろうか
ゆく雲 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
食後の雑談は、更ににぎやかに弾んだ。私は既に完全に、彼等の仲間になり切つてゐた。私は他人に劣らず饒舌おしやべりになつた。而して皆に劣らず警句の吐き競べを始めた。
良友悪友 (新字旧仮名) / 久米正雄(著)
……石頭いしあたまかどのある、大出額おほおでこで、くちさかさのへのに、饒舌おしやべりをムツと揉堪もみこたへ、横撫よこなでがくせ鼻頭はなさきをひこつかせて、こいつ、日暮里につぽりけむりより、何處どこかのうなぎぎさうな、團栗眼どんぐりまなこがキヨロリとひかつて
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
夾竹桃と饒舌おしやべりな白蓮のあはひをすべりゆく
らくになつたとおよろこびなさろうか、れともをりふしははなきの饒舌おしやべりのさわがしいひとなくなつたで、すこしはさびしいくらゐおもしてくださろうか
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
……考へた時は大變面白かつたが、かう書いて見ると、興味索然たりだ。饒舌おしやべりは品格をそこなふ所以である。
葬列 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
……考へた時は大変面白かつたが、恁書いて見ると、興味索然たりだ。饒舌おしやべりは品格をそこなふ所以である。
葬列 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
夫れとも折ふしは彼の話し好きの饒舌おしやべりのさわがしい人が居なくなつたで、少しは淋しい位に思ひ出して下さろうか、まあ何と思ふてお出なさると此樣こんな事を問ひかけるに、仰しやるまでもなく
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
れもおもひのゆるにたり、一仲働なかばたらきのふくこゑをあらためて、はねばひとらぬこと、いふてわたしとくにもらぬを、無言むごんにいられませぬは饒舌おしやべりくせ、おきにつてもらぬかほくださりませ
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)