飛躍ひやく)” の例文
作れば、いくらでも価格は飛躍ひやくします。それに近頃では外国人がだいぶ需要して来ました。わが国では金魚飼育はもう立派な産業ですよ
金魚撩乱 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
の手紙を見て、何様顏をしてゐるか………おツと、其様なことは何うでも可いとして、これから小時暗中あんちう飛躍ひやくと出掛けるんだ。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
が、麻雀マアジヤンたちまちにして日本にほん社會しやくわい飛躍ひやくした。これは一めんあきらか麻雀戲マアジヤンぎそのものの魅力みりよくからだ。そして、一めん空閑緑くがみどり以下いか識者しきしや盡力じんりよくからにちがひない。
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
閉じ永劫えいごう不変の観念境へ飛躍ひやくしたのである彼の視野には過去の記憶きおくの世界だけがあるもし春琴が災禍さいかのため性格を
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
一番目覚ましい飛躍ひやくを伝えられたのは、矢張やはり、光の世界とばれている東京は下町の、浅草あさくさ区だったという。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そこでは、あらゆることが可能かのうである。人は一瞬いっしゅんにして氷雲ひょううんの上に飛躍ひやく大循環だいじゅんかんの風をしたがえて北にたびすることもあれば、赤い花杯はなさかずきの下を行くありかたることもできる。
併し事情はその晩最後の飛躍ひやくをして、到頭恐ろしい結末カタストローフまで運んで了ひました。
人を愛することに一だい飛躍ひやくをとげ、従ってまた彼の魂が「永遠」への門を、たしかに一つだけはくぐることが出来たのも、全く彼の過去の「運命」のおかげだった、と言わなければなるまい。
次郎物語:02 第二部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
……第一、言うことに飛躍ひやくがなくなった。弾力がなくなった。知性のひらめきがなくなったよ。……「竹が囁いてるんだ……」。情無いことを云うじゃないか。……まるでもう君はしなえうらぶれている。
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
飛躍ひやくは、竹童の得意とくいである。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
やがて、氏は大乗だいじょう仏教をも、味覚しました、ここにもまた、氏の歓喜的飛躍ひやくいちじるしさを見ました。
言ひ換へれば、氏はあまうますぎて、人間の本當の心理しんりの境を越えて飛躍ひやくしすぎるのでせう。
三作家に就ての感想 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
つい、話がとんでもない、大きな問題に飛躍ひやくしてしまったね。しかし、真理は問題の大小にかかわらないんゼ。小細工はいわば小さな暴力革命だし、暴力革命はいわば大きな小細工だからね。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
平次の觀察は、もう源吉の思ひ及ばなかつたところまで飛躍ひやくします。
源吉の想像は素晴らしい飛躍ひやくを遂げました。