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颯然
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さつぜん
ふりがな文庫
“
颯然
(
さつぜん
)” の例文
荒天の雲のように、不安と勝気と、また焦躁と剛胆とが、
去来
(
きょらい
)
しぬいていた風である。が、
颯然
(
さつぜん
)
とその心は窓が開いた。
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
たかうすびょうの矢が一筋、
颯然
(
さつぜん
)
と風を切りながら、ひとゆりゆって後頭部へ、ぐさと
箆深
(
のぶか
)
く立ったからである。
偸盗
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
こゝに半夜を
費
(
つひや
)
し
軈
(
やが
)
て閉場のワルツに送られて群集と共に外に
出
(
いづ
)
るや、
冷
(
つめた
)
き風
颯然
(
さつぜん
)
として面を
撲
(
う
)
つ……余は常に劇場を出でたる此の瞬間の情味を忘れ得ず候。
夜あるき
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
竜雄が、市平に宛てた手紙を書いてから一週間目、市平は
颯然
(
さつぜん
)
として帰ってきた。
土竜
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
いうが早いか、
槍
(
やり
)
を持ちなおして、
敢然
(
かんぜん
)
と
試合場
(
しあいじょう
)
のほうへ帰ってきたが、まだ
礼
(
れい
)
もすまないうちに
血気
(
けっき
)
ばしった
祇園藤次
(
ぎおんとうじ
)
が、
颯然
(
さつぜん
)
とおどりかかった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
ようやく、日頃の細かい神経や肉体のうちに住んでいる臆病虫が、こよいの
暴風雨
(
あらし
)
に、
颯然
(
さつぜん
)
と、
相模灘
(
さがみなだ
)
の彼方へふき飛んで行ってしまった心地がする。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
同時に
右手
(
めて
)
の大刀を、
颯然
(
さつぜん
)
と横に払ってきたので、彼はすばやく後ろへ身を開いた。その
弾
(
はず
)
みに
塗枠
(
ぬりわく
)
の
襖
(
ふすま
)
障子一、二枚を
煽
(
あお
)
って菊の間の中へドッと仆れる。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
颯然
(
さつぜん
)
と、
蛍
(
ほたる
)
を
砕
(
くだ
)
いたような光が飛んだ。あッといった時は、それが剣であったとみる眼も
眩
(
くら
)
んで、
窯焚
(
かまた
)
きの
百助
(
ももすけ
)
、
額
(
ひたい
)
を
抑
(
おさ
)
えて、ダッ——と
跳
(
と
)
びのき、
満面
(
まんめん
)
朱
(
しゅ
)
になって
増長天王
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
声もかけぬ狂刃が、いきなり
暁闇
(
ぎょうあん
)
からおどったのはその時である。
颯然
(
さつぜん
)
たる
技力
(
ぎりょく
)
はないが、必死! と感じられる小脇差の切ッ
尖
(
さき
)
が、うしろから老人の
鬢
(
びん
)
をかすった。
鳴門秘帖:05 剣山の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その黒髪を
断
(
た
)
つが如く、
颯然
(
さつぜん
)
と鳴った大刀は、白光の火を縦に曳いて、金吾の真ッ向へ落ちてくる。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
飛び下りた影を
狙
(
ねら
)
って、
颯然
(
さつぜん
)
たる一刀が月光に鳴り、斜めに腰を払ったが、ヒラッとかわして銀五郎が、無二無三の
刃交
(
はまぜ
)
を
挑
(
いど
)
むと、
対手
(
あいて
)
はたちまち
掠
(
かす
)
りをうけて
後退
(
あとずさ
)
り
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その鋭さに、新九郎はハッと
気竦
(
きすく
)
みを覚えて日頃
鍛練
(
たんれん
)
の
梢
(
こずえ
)
斬りの飛躍の呼吸をもって、
咄嗟
(
とっさ
)
に上に跳びかわそうとしたが、ほとんど、その隙もなく左典の返した上段刀が
颯然
(
さつぜん
)
来た。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と——思うまに菊池半助の
無情
(
むじょう
)
な
刃
(
やいば
)
は、
颯然
(
さつぜん
)
と、
伊那丸
(
いなまる
)
の
襟
(
えり
)
もとへおちた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
颯然
(
さつぜん
)
と目のまえへ
降
(
お
)
りてきたのは、
大鷲
(
おおわし
)
のクロである。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
颯
漢検1級
部首:⾵
14画
然
常用漢字
小4
部首:⽕
12画
“颯”で始まる語句
颯
颯爽
颯々
颯急
颯光
颯地
颯血
颯爽味
颯秣建
颯々淙々