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がんもん
ふりがな文庫
“
願文
(
がんもん
)” の例文
「
上訴
(
じょうそ
)
上訴。——われらのうち数名のものが、まず政庁に赴いて、念仏
停止
(
ちょうじ
)
の
願文
(
がんもん
)
をさし出し、朝廷へ訴え奉るが何よりの策じゃ」
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「御用人様、——若殿お命を速やかに縮め給え、
穴賢
(
あなかしこ
)
——と紅筆で
願文
(
がんもん
)
を書くような人間は、御屋敷に心当りはありませんか」
銭形平次捕物控:098 紅筆願文
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
この箱の中の
願文
(
がんもん
)
はお居間の置き
棚
(
だな
)
などへしまってお置きになりまして、何をなさることも可能な時がまいりましたら
源氏物語:34 若菜(上)
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
久米島
(
くめじま
)
仲里間切
(
なかざとまぎり
)
二百数十年前の記録に、稲の祭に伴なう村々の
願文
(
がんもん
)
を載せてあるが、その中には一つならず、鼠を小舟に載せてニルヤの磯に送り返す
序
(
ついで
)
をもって
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
ついで日本国家の威力が
旭日
(
きょくじつ
)
の輝くごとく万国に光被せんことを祝願するので実にめでたい
願文
(
がんもん
)
である。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
▼ もっと見る
熱田の町口には加藤
図書助順盛
(
ずしょのすけよりもり
)
が迎えに出て来て居て、出陣式法の菓子をそなえた。信長は喜んで宮に参り
願文
(
がんもん
)
を奉じ神酒を飲んだ。願文は武井入道
夕菴
(
せきあん
)
に命じて作らしめたと伝うるもので
桶狭間合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
寂照が
願文
(
がんもん
)
を作って、母の為めに
法華
(
ほっけ
)
八講
(
はっこう
)
を山崎の宝寺に
修
(
しゅ
)
し、愈々本朝を辞せんとした時は、法輪
壮
(
さか
)
んに転じて、情界
大
(
おおい
)
に風立ち、随喜
結縁
(
けちえん
)
する
群衆
(
ぐんじゅ
)
数を知らず、車馬
填咽
(
てんえつ
)
して四面
堵
(
と
)
を成し
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
捧げたる
願文
(
がんもん
)
にこそ。光り匂ふ
法
(
のり
)
の
会
(
え
)
のため
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
「そして、諸寺への
願文
(
がんもん
)
とか写経にばかり御専念とある。いまも
水分
(
みくまり
)
で聞けば、きのうは金剛山寺へお登りとか」
私本太平記:11 筑紫帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
これを
御仏
(
みほとけ
)
への結縁としてせめて愛する者二人が永久に導かれたい希望が御
願文
(
がんもん
)
に述べられてあった。
源氏物語:38 鈴虫
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
告別の
願文
(
がんもん
)
を読み立てました。その願文は
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
大いにそれを振るわすため、途上の神仏に
願文
(
がんもん
)
をささげ、また何らかの奇蹟を行い、三軍を
沸騰
(
ふっとう
)
させて出向くのを常道とする。兵法として、はばかるまい。
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
雑用をする僧は
願文
(
がんもん
)
のことなどもよく心得ていて、すばやくいろいろのことを済ませていく。
源氏物語:22 玉鬘
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
いましがた拝殿の方で、
柏手
(
かしわで
)
の音が聞えた。光秀以下、幕僚たちも揃って、神前へ
願文
(
がんもん
)
を
籠
(
こ
)
めたものらしい。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
惟光
(
これみつ
)
の兄の
阿闍梨
(
あじゃり
)
は人格者だといわれている僧で、その人が皆引き受けてしたのである。源氏の詩文の師をしている親しい某
文章博士
(
もんじょうはかせ
)
を呼んで源氏は故人を仏に頼む
願文
(
がんもん
)
を書かせた。
源氏物語:04 夕顔
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
こう
願文
(
がんもん
)
のうえに自己の本心をさらけ出したときは、自然、そのわずかな間では、きっと尊氏の眼には、ぼうだと、掻き曇るばかりな涙がわいたことであろう。
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
義貞は
日吉
(
ひえ
)
の大宮
権現
(
ごんげん
)
にひとり
参籠
(
さんろう
)
して、氷のような
床
(
ゆか
)
に伏した。夜もすがらなにか一念の祈願をこめ、あわせて
願文
(
がんもん
)
と重代の太刀鬼切とを、社壇へおさめた。
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
産土
(
うぶすな
)
の神も
照覧
(
しょうらん
)
あれ
願文
(
がんもん
)
の誓いはきっとつらぬいてみせよう。——ここにただ尊氏をさえ滅ぼしてしまえばだ。道誉一人の存否などは問題でない。どうにでもなる。
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その
祷
(
いの
)
りの必死懸命となるときは、
願文
(
がんもん
)
を
誦
(
じゅ
)
する声が、帳外の
武者
(
つわもの
)
の耳にも聞えてくるほどであった。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
篠村
(
しのむら
)
八幡へこめた
願文
(
がんもん
)
にも、彼は国内平安と朝家の御為をうたっている。家の名をはずかしめずともいっている。また彼の思想からも元々、逆賊叛臣が
本懐
(
ほんかい
)
ではない。
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あえて、
践祚
(
せんそ
)
ノ
儀
(
ぎ
)
をとり行って二日後の晩であった。彼は、人知れず
清水寺
(
きよみずでら
)
へ
願文
(
がんもん
)
をおさめていた。
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一例をあげれば、
清水寺
(
きよみずでら
)
の
願文
(
がんもん
)
など、あれを書かれた御本心が疑われてならないのです。
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ここには、かつて自分が旗上げの日に
籠
(
こ
)
めた
願文
(
がんもん
)
がおさめられてある。——一には世のために、二には朝家のため、三にはわが源家再興のため——と
素志
(
そし
)
を天にちかった願文だった。
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
尊氏旗上げの地、篠村八幡では、尊氏直筆の“
願文
(
がんもん
)
”を見た。尊氏の筆蹟は、例の
石清水
(
いわしみず
)
の仮名がきの願文でも、このようなかたい楷書の物でもみな武将に似あわずどこか優しいところがある。
随筆 私本太平記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
府中の
六所神社
(
ろくしょじんじゃ
)
で義貞は
願文
(
がんもん
)
をあげた。また千寿王へは、全軍が多摩川を渡りきるまでここにいるようにといって、その紫の旗を玉垣の外に立てさせた。何かと悠々たる義貞の指令ぶりだった。
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして
瑤
(
たま
)
の
台
(
うてな
)
に
願文
(
がんもん
)
をささげ
拈香
(
ねんこう
)
十拝、花に水をそそいで静かに
退
(
さ
)
がる。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そしてすぐ、かねて賜わっていた
綸旨
(
りんじ
)
と、
願文
(
がんもん
)
を読みあげた。
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
付けの
願文
(
がんもん
)
を以て、武運の長久を祈っている。
私本太平記:11 筑紫帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「妙源、
願文
(
がんもん
)
を」
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“願文”の意味
《名詞》
仏や菩薩の本願を記した文。
法会などの施主の願意を記した文。
神仏への祈願の趣旨を記した文。
(出典:Wiktionary)
願
常用漢字
小4
部首:⾴
19画
文
常用漢字
小1
部首:⽂
4画
“願文”で始まる語句
願文会