青筋あおすじ)” の例文
こんな日傭稼ひようかせぎなどになめられて、山目付やまめつけというお役目がつとまるものかと、伊部熊蔵いのべくまぞう、ひたいに青筋あおすじを立ってカンカンになりながら
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
素気無そっけなかおには青筋あおすじあらわれ、ちいさく、はなあかく、肩幅かたはばひろく、せいたかく、手足てあし図抜ずぬけておおきい、そのつかまえられようものなら呼吸こきゅうまりそうな。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
博士は、まゆをつりあげ、ひたい青筋あおすじを立て、真剣になって、黄竜の間で家探やさがしをしている。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そんな小僧こぞう苦楽くらくなんぞ、背中せなかにとまった蝿程はえほどにもおもわない徳太郎とくたろうの、おせんといた夢中むちゅうあゆみは、合羽かっぱしたからのぞいているなましろすね青筋あおすじにさえうかがわれて、みちわるしも
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
かれは金茶色のかみをしていた。顔色は青白くて、すきとおった皮膚ひふのもとにひたい青筋あおすじすら見えるほどであった。その顔つきには病人の子どもらしい、おとなしやかな、悲しそうな表情ひょうじょうがあった。
照彦てるひこ様は八つあたりを始めた。おこるとひたい青筋あおすじが立つ。
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
かれのひたいには、ほのおのような青筋あおすじがうねっていた。かつて、忍剣の形相ぎょうそうが、こうまですごくさえたことを、龍太郎も見たことがないくらい。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それでくれないと見ると、かれはとこの上にすわって両手をむねの上に当てたまま、からだをゆがめて、ありったけの力でせきをした。かれのひたい青筋あおすじがにょきんととび出して、なみだが目から流れた。
と照彦様はひたい青筋あおすじを立てていた。
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
ふいに自鳴鉦じめいしょうを聞いたとどろき又八は、青筋あおすじをかんかんに立てて立腹した。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)