青山あおやま)” の例文
あるとき、黒木くろき近衛師団長の検閲がおこなわれた。私はひとり、青山あおやま練兵場に引きだされた。師団長はじめ参謀らがならんでいた。
私の歩んだ道 (新字新仮名) / 蜷川新(著)
秋骨君が言う処おおいにわが意を得たものである。こはただちに移して代々木よよぎ青山あおやまの練兵場または高田たかた馬場ばば等に応用する事が出来る。
「おお、ルミちゃんだね。いい名だ。わたしは、青山あおやまにすんでいる黒沢くろさわというものですよ。坊や、このおねえちゃんはね、ルミちゃんだよ。」
魔法人形 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
柳之助りゅうのすけ亡妻ぼうさいの墓に雨がしょぼ/\降って居たと葉山はやまに語るくだりを読むと、青山あおやま墓地ぼちにある春日かすが燈籠とうろうの立った紅葉山人こうようさんじんの墓が、と眼の前にあらわれた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
青山あおやま五丁目まで電車で、それから数町ばかり歩いて行ったところを左へ折れ曲がったような位置にあった。部屋の数が九つもあって、七十五円なら貸す。
(新字新仮名) / 島崎藤村(著)
祝ってほしい誕生日ではないが、祝ってくれた父や母や伯母も、いまは墓石になって、わたしの植えた珊瑚樹あおきの葉擦れの音を聞きながら、青山あおやまの墓地に眠っている——
暴風雨に終わった一日 (新字新仮名) / 松本泰(著)
なんでも知人の青山あおやまとかいう人に、事情を詳しく打明けて、相談を持ちかけたんです。
あやつり裁判 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
明治四十四年十一月二十八日——昨日青山あおやまの宿から本郷ほんごうの下宿へ移った。朝押し入れから蒲団ふとん行李こうりを引き出して荷造りをしている間にも、宿を移ったとて私はどうなるだろうと思う。
亮の追憶 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
抽斎のこの弱点はたまたま森枳園がこれを同じうしていた。枳園の寿蔵碑ののちに門人青山あおやま道醇どうじゅんらの書した文に、「夏月畏雷震かげつらいしんをおそれ発声之前必先知之はっせいのまえかならずさきにこれをしる」といってある。枳園には今一ついやなものがあった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
三日を隔てて、浪子は青山あおやま墓地に葬られぬ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
青山あおやま葉山はやま羽黒はぐろ権現ごんげんさん
紅玉 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
あの青山あおやまにとりかこまれた
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
けれども夕日と東京の美的関係を論ぜんには、四谷よつや麹町こうじまち青山あおやま白金しろかね大通おおどおりの如く、西向きになっている一本筋の長い街路について見るのが一番便宜である。
日がみじかい頃で、葬式が家を出たのは日のくれ/″\であった。青山あおやま街道かいどうに出て、鼻欠はなかけ地蔵じぞうの道しるべから畑中を一丁ばかり入り込んで、薄暗うすぐらい墓地に入った。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
神宮外苑じんぐうがいえんから、青山あおやま墓地を通り抜けて、暫く走ると、大邸宅の高い塀ばかり続く、非常に淋しい通りで、先の車がバッタリ止まったかと思うと、いきなり飛び出す黒マント。
吸血鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
青山あおやま兵営の裏手より千駄せんだくだる道のほとりにも露草つゆくさ車前草おおばこなぞと打交うちまじりて多く生ず。きたりてよく土を洗ひ茎もろともにほどよくきざみて影干かげぼしにするなり。
矢はずぐさ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
一は上祖師ヶ谷で青山あおやま街道かいどうに近く、一は品川へ行く灌漑かんがい用水の流れにうて居た。此等これらは彼がふところよりもちと反別が広過ぎた。最後に見たのが粕谷の地所じしょで、一反五畝余。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
部屋の中には乳母うばのおとよ、ドアの外の廊下には書生の青山あおやまが、夫々それぞれ見張り役を勤めている上に、そのドアは外から鍵をかけ、ちょっと洗面所へ行くにも、中からノックして
黄金仮面 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)