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關羽
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くわんう
一人は
張飛の
痩て
弱くなつたやうな
中老の
人物。
一人は
關羽が
鬚髯を
剃り
落して
退隱したやうな
中老以上の
人物。
忿怒の
面相、しかし
威あつて
猛からず、
大閻魔と
申すより、
口をくわつと、
唐辛子の
利いた
關羽に
肖てゐる。
從つて
古色蒼然たる
脇立の
青鬼赤鬼も、
蛇矛、
長槍、
張飛、
趙雲の
概のない
事はない。
よく/\これ
察すべきことなり
舜も人なり
我も人なり智に
臥龍(孔明の事なり)
勇に
關羽の如きもの
當世の人になからんや
爰に有章院殿の御代
大岡越前守伊勢山田
奉行となりてかしこに至り
諸人公事に
彼地にて多く
裁許あり先年より
勢州路紀州領の
境論の
公事ありてやむ事なし山田奉行
替りのたび事にねがひ出るといへども今もつて
落着せず是は
膄せた
張飛は
眞鶴駐在所に
勤務すること
既に七八
年、
齋藤巡査と
稱し、
退隱の
關羽は
鈴木巡査といつて
湯ヶ
原に
勤務すること
實に九
年以上であるといふことは、
後で
解つたのである。
『さうです。
實際彼の
家が
今一
番繁盛するでしよう。』と
關羽の
鈴木巡査が
答へた。