たゝか)” の例文
彼の足が一歩々々梯子段をのぼって行くほど、逆に彼を引きおろすようにする何物かゞあって、少年は心でそれとたゝかいながらあがり詰めた。
そして永劫えいがふの或期間だけ蓋の形を保續して來た、要するにあつまツた人の力が歳月さいげつたゝかツて來たのだ。雖然戰ツた痕跡こんせきは、都て埃の爲に消されて了ツた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
きまくだん×(16)あらしなか生命せいめいしてたゝかふおまへたちおれたちの前衛ぜんゑい、あゝ×××××(17)
同じ飲仲間の孫先生そんせんせいと一しよに(これが、白羽扇はくうせんを持つてゐた儒者である。)風通しのいゝへやで、竹婦人ちくふじんもたれながら、棋局をたゝかはせてゐると、召使ひの丫鬟あくわんが来て
酒虫 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
すぐ風呂敷ふろしきの結び目がずつとけてしまつて、うしろへ荷物をはふり出し、すぐ匕首あひくちいて追剥おひはぎたゝかふくらゐでなければ、とて薬屋くすりや出来できませぬ、わたしけば大丈夫でございます
塩原多助旅日記 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
河内介は、敵味方が火花を散らしてたゝかいつゝある怒号と砂塵さじんの中にあって、ゆくりなくも久しく忘れていた少年時代の悪戯の記憶を呼び戻した。
うしなはれゆく感覚かんかく懸命けんめいたゝかひながら、いたるまで、まもとほしたたうをとぎれ/\にんだ
既に気をまれていてたゝかう意志はないのだが、主人にじゅんずる一念だけで蹈み止まっていたのであろう、彼は法師丸の鋭く打ちおろす剣の光に、眼をつぶるようにして二三合斬り結んだが