鐵棒かなぼう)” の例文
新字:鉄棒
思ひり又も泪にくれをり丑刻やつかね鐵棒かなぼうの音と諸共に松本理左衞門は下役したやく二人下男五六人召連自分じぶん獄屋ごくやに來り鍵番かぎばんに戸口を明けさせ九助を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
二十七八の達者で口まめで、働きもするが鐵棒かなぼうも曳くと言つた——こればかりは六人の女のうちで、世間並のみにくい女です。
こゝに希有けうことがあつた。宿やどにかへりがけに、きやくせたくるまると、二臺三臺にだいさんだい俥夫くるまやそろつて鐵棒かなぼう一條ひとすぢづゝげて、片手かたてかぢすのであつた。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
四十前後の、出戻りらしい達者さうな女で、少し鐵棒かなぼう引らしいところも、平次にはあつらへ向でした。
付てうはさしけるゆゑ彌々いよ/\人々あつまり來り自身番の前はきりを立る地もなき程なれば番人ばんにん鐵棒かなぼうを引出し皆々人を拂ひ退のけるに笠原粂之進は大橋文右衞門并びに油屋の番頭久兵衞の兩人を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それでも、たれもが、御老體ごらうたいすくはれたごとくにかんじて、こと/″\前者ぜんしや暴言ばうげんうらんだ。——ところで、その鐵棒かなぼうをついたでこがとふと、みぎ禪門ぜんもん一家いつか、……どころか、せがれなのだからおもしろい。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
水鷄くひな鐵棒かなぼうをひくやうに、雨戸あまどもたゝけば、溝端みぞばた突駛つツぱしる。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
俥夫くるまや鐵棒かなぼう振舞ふりまはすのを、はしつてたのである。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)