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鉄鎚
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かなづち
ふりがな文庫
“
鉄鎚
(
かなづち
)” の例文
旧字:
鐵鎚
「この谷の色、すこうし凄味がありすぎるでせう。この水色ぢや、とても私は泳ぐ気持になれませんわ。それに私は
鉄鎚
(
かなづち
)
だから」
木々の精、谷の精
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
「
彼奴
(
あいつ
)
は悪魔だ。お前と俺の生涯をドン底まで
詛
(
のろ
)
って来た奴だ。今度彼奴に会ったら、
鉄鎚
(
かなづち
)
で脳天を喰らわしてやるんだぞ。いいか。忘れるなよ」
鉄鎚
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
土方工夫の輩酒気を帯び
鉄鎚
(
かなづち
)
を携えて喧嘩面で電車に乗込めば乗客車掌倶に恐れて其の為すに任す。ボルシェイークの実行既に電車に於て此を見る。
偏奇館漫録
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
袖姿見
(
てかがみ
)
は、瞳のごとく
背後
(
うしろ
)
ざまに巨なる銅像を吸った。
拳銃
(
ピストル
)
は取直され、
銃尖
(
じゅうせん
)
が肩から
覗
(
のぞ
)
いた……磨いた
鉄鎚
(
かなづち
)
のように、銅像の右の目に向ったのである。
ピストルの使い方:――(前題――楊弓)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それに当時の工事であるから、岩を砕くにも大小の
鉄鎚
(
かなづち
)
で一いち打ち砕くより他に方法がないので、それも岩礁砕破の工事の思うようにならない原因の一つでもあった。
海神に祈る
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
▼ もっと見る
釘身の残りは錐穴のなかにあって、折れたままになっていた。折れたのは古くのことで(というわけは先がすっかり
錆
(
さ
)
びていたからだ)、
鉄鎚
(
かなづち
)
で打ちこまれたときにそうなったらしい。
モルグ街の殺人事件
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
それから川岸を下って
朝日橋
(
あさひばし
)
を
渡
(
わた
)
って
砂利
(
じゃり
)
になった広い
河原
(
かわら
)
へ出てみんなで
鉄鎚
(
かなづち
)
でいろいろな岩石の
標本
(
ひょうほん
)
を
集
(
あつ
)
めた。河原からはもうかげろうがゆらゆら立って
向
(
むこ
)
うの水などは何だか風のように見えた。
或る農学生の日誌
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
貴公子、
鉄鎚
(
かなづち
)
だつたのかな?
富嶽百景
(新字旧仮名)
/
太宰治
(著)
吾知らずウットリとなって、血だらけの
鉄鎚
(
かなづち
)
を畳の上に取落して汚れた両手でお作を引寄せながら天井を仰いだ。
斜坑
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
鉄鎚
(
かなづち
)
を二
挺
(
ちょう
)
、大きな紙入の底へ、内懐へしっかりと入れて、もやもや雲の
蝋型
(
ろうがた
)
には、
鬱金
(
うこん
)
の
切
(
きれ
)
を深く掛けた上、羽織の
紐
(
ひも
)
をきちんと結んで、——お供を。——
ピストルの使い方:――(前題――楊弓)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
松蔵は何かに突き当って困ったような顔をしながら石垣を降りて往ったが、其のうちに
彼方此方
(
あっちこっち
)
から松蔵の傍へ人夫たちが来はじめた。人夫の中には
鉄鎚
(
かなづち
)
を手にした者もあった。
海神に祈る
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
ほかの黄金のあいだから択り出したその台のほうは、見分けのつかぬようにするためか、
鉄鎚
(
かなづち
)
で叩きつぶしたものらしく見えた。これらすべてのほかに、非常にたくさんの純金の装飾品があった。
黄金虫
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
古火鉢と、大きな細工盤とで
劃
(
しき
)
って、うしろに神棚を
祀
(
まつ
)
った仕事場に、しかけた仕事の
鉄鎚
(
かなづち
)
を持ったまま、
鏨
(
たがね
)
を
圧
(
おさ
)
えて、平伏をなさると、——畳が汚いでしょう。
ピストルの使い方:――(前題――楊弓)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
これで殴ってくれといわんばかりに
鉄鎚
(
かなづち
)
を眼の前に投出して、電燈の下に赤いマン丸い頭をニュッと突出したもんだから、ツイフラフラッとその鉄鎚を引掴んで……
山羊髯編輯長
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
という
鉄鎚
(
かなづち
)
の音と一所に、懐しい懐しいルルの歌うこえが、水をふるわせてきこえて来ました。
ルルとミミ
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
とだけん
(著)
能役者になる前に、なぜ、
鉄鎚
(
かなづち
)
や
鑿
(
のみ
)
を持って斬込んで、
姉
(
あね
)
を
苛
(
いじ
)
めるその
姑婆
(
しゅうとばば
)
を
打
(
ぶち
)
のめさないんだい。——必ず御無用だよ。そういうかたがたを御紹介とか、何とか、に相成るのは。
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
昼飯
(
ひる
)
の支度は、この
乳母
(
うば
)
どのに
誂
(
あつら
)
えて、それから浴室へ下りて
一浴
(
ひとあみ
)
した。……成程、屋の内は大普請らしい。大工左官がそちこちを、
真昼間
(
まっぴるま
)
の
夜討
(
ようち
)
のように働く。……ちょうな、
鋸
(
のこぎり
)
、
鉄鎚
(
かなづち
)
の
賑
(
にぎや
)
かな音。
みさごの鮨
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
眼に見えぬ
鉄鎚
(
かなづち
)
で心臓をタタキ潰されたからであった。
鉄鎚
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
錺屋
(
かざりや
)
、錺職をもって安んじているのだから、丼に
蝦蟇口
(
がまぐち
)
を
突込
(
つっこ
)
んで、
印半纏
(
しるしばんてん
)
で
可
(
よ
)
さそうな処を、この男にして妙な事には、古背広にゲエトルをしめ、
草鞋穿
(
わらじばき
)
で、
鏨
(
たがね
)
、
鉄鎚
(
かなづち
)
の
幾挺
(
いくちょう
)
か、
安革鞄
(
やすかばん
)
で
斜
(
はす
)
にかけ
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“鉄鎚”の意味
《名詞:かなづち》
鉄鎚(かなづち)
「かなづち」を参照。
《名詞:てっつい》
鉄鎚(てっつい)
「鉄槌」を参照。
(出典:Wiktionary)
鉄
常用漢字
小3
部首:⾦
13画
鎚
漢検準1級
部首:⾦
17画
“鉄”で始まる語句
鉄
鉄瓶
鉄漿
鉄槌
鉄砲
鉄棒
鉄扉
鉄格子
鉄柵
鉄拳