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鈴懸
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すずかけ
ふりがな文庫
“
鈴懸
(
すずかけ
)” の例文
しばしば深い
靄
(
もや
)
が下りる、十二月の初旬近くで、並木の柳や
鈴懸
(
すずかけ
)
などが、とうに黄いろい葉をふるっていた、ある
雨
(
あま
)
あがりの夜の事である。
毛利先生
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
並木の
鈴懸
(
すずかけ
)
の間を夏の
遊蝶花
(
ゆうちょうげ
)
の咲き
盛
(
さか
)
った円形花壇と緑の芝生に添って、たどたどと帰ってゆく幼年紳士の歌声がきこえる。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
僕は焼けのこった東京の街の
爽
(
さわ
)
やかな
鈴懸
(
すずかけ
)
の朝の
鋪道
(
ほどう
)
を歩いた。鈴懸は朝ごとに僕の眼をみどりに染め、僕の眼は涼しげなひとの眼にそそいだ。
鎮魂歌
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
私
(
わたくし
)
は
優
(
や
)
さしい
名前
(
なまえ
)
がよいと
思
(
おも
)
いまして、さんざん
考
(
かんが
)
え
抜
(
ぬ
)
いた
末
(
すえ
)
にやっと『
鈴懸
(
すずかけ
)
』という
名
(
な
)
を
思
(
おも
)
いついたのでございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
丸
(
まる
)
の
内
(
うち
)
の街路の
鈴懸
(
すずかけ
)
の樹のこの惨状を実見したあとで帝劇へ行って二階の休憩室の窓からお
堀
(
ほり
)
の向こう側の
石崖
(
いしがけ
)
の上に並んだ黒松をながめてびっくりした。
柿の種
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
▼ もっと見る
周囲は広い余地を残し、
鈴懸
(
すずかけ
)
の木立から思い出した様に枯葉が
零
(
こぼ
)
れて居た。垣根と云うのは石の柱と、其を結び付けて垂れ下った鉄鎖がある丈けで、人の出入も自由であった。
偽刑事
(新字新仮名)
/
川田功
(著)
と言いながら仏頂寺は、弁慶の兜巾を
毮
(
むし
)
り取り、
鈴懸
(
すずかけ
)
、衣、袴まで毮り取ろうとする有様は、この弁慶の身体には危害を加えないが、身の皮を剥いで懲らしめるの手段と見えました。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
青空が広く、葉は落ち尽くし、
鈴懸
(
すずかけ
)
が木に
褐色
(
かっしょく
)
の実を乾かした。冬。
凩
(
こがらし
)
が吹いて、人が殺された。泥棒の噂や火事が起こった。短い日に戸をたてる信子は舞いこむ木の葉にも
慴
(
おび
)
えるのだった。
雪後
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
目まぐるしくも烈しい首府の繁榮をその
鈴懸
(
すずかけ
)
の並木の上に形づくる。
展望
(旧字旧仮名)
/
福士幸次郎
(著)
その境界に植えた
鈴懸
(
すずかけ
)
の葉に電燈の
燈
(
ひ
)
が
映
(
は
)
えていた。
女の怪異
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
それから
馬
(
うま
)
の
呼名
(
よびな
)
でございますが、
私
(
わたくし
)
は
予
(
かね
)
ての
念願
(
ねんがん
)
どおり、
若月
(
わかつき
)
を
改
(
あらた
)
めて、こちらでは
鈴懸
(
すずかけ
)
と
呼
(
よ
)
ぶことに
致
(
いた
)
しました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
冷たい空気が頬にあたり、すぐ真下に見える
鈴懸
(
すずかけ
)
の並木がはっと色づいていた。と、何かヒラヒラするものがうごき、無数の落葉が眼の奥で渦巻いた。
秋日記
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
大井
(
おおい
)
は角帽の
庇
(
ひさし
)
の下に、
鈴懸
(
すずかけ
)
の並木を照らしている街燈の光を受けるが早いか、
俊助
(
しゅんすけ
)
の腕へすがるようにして
路上
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
私
(
わたくし
)
が
神社
(
じんじゃ
)
に
落
(
お
)
ちついてから、
真先
(
まっさ
)
きに
訪
(
たず
)
ねてくれたのは
父
(
ちち
)
だの、
母
(
はは
)
だの、
良人
(
おっと
)
だのでございましたが、
私
(
わたくし
)
は
何
(
なに
)
は
措
(
お
)
いても
先
(
ま
)
ずこの
鈴懸
(
すずかけ
)
を
紹介
(
しょうかい
)
しました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
公園の中には
鈴懸
(
すずかけ
)
の若葉にかすかな風が渡っています。白は頭を
垂
(
た
)
れたなり、木々の間を歩いて行きました。ここには幸い池のほかには、姿を映すものも見当りません。
白
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
長い長い年月が流れたかとおもったのに。街の
鈴懸
(
すずかけ
)
は夏らしく輝き、人の装いはいじらしくなっていた。ある日、突然、わたしの歩いている街角でパチンと音と光が
炸裂
(
さくれつ
)
した。雷鳴なのだ。
鎮魂歌
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
鈴
常用漢字
中学
部首:⾦
13画
懸
常用漢字
中学
部首:⼼
20画
“鈴”で始まる語句
鈴
鈴蘭
鈴生
鈴鹿
鈴慕
鈴木
鈴木春信
鈴木三重吉
鈴虫
鈴鹿峠