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遣繰
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やりくり
ふりがな文庫
“
遣繰
(
やりくり
)” の例文
装身具などにも可なりの贅を尽している妙子の
遣繰
(
やりくり
)
の巧さには、どうしたらああやれるものかと、幸子は毎々感心しているのであったが
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
今までは、期限が来る
毎
(
ごと
)
に、幾度も幾度も証書の書換をした。そのために、証書の金額は、年一年
増
(
ふ
)
えて行ったものゝ、
何
(
ど
)
うにか
遣繰
(
やりくり
)
は付いていた。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
尤
(
もつと
)
も春作は安価の為め失敗せしもので、main crop は一昨日より出荷を始め候へばこれにて何とか当分の
遣繰
(
やりくり
)
付く事と存ぜられ候。(後略)
新らしき祖先
(新字旧仮名)
/
相馬泰三
(著)
叔父の顔を見ると、正太は相場の
思惑
(
おもわく
)
にすこし手違いを生じたことから、
遣繰
(
やりくり
)
算段して母を迎える
打開話
(
うちあけばなし
)
を始めた。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
然
(
しか
)
るところ、もう八方
塞
(
ふさが
)
つて
遣繰
(
やりくり
)
は付きませず、いよいよ主人には知れますので、
苦紛
(
くるしまぎ
)
れに相場に手を出したのが
怪我
(
けが
)
の元で、ちよろりと取られますと
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
▼ もっと見る
誰と誰とが
結托
(
けったく
)
していて、
何処
(
どこ
)
と何処が対立し、いかに統制をくぐり抜けてみんなそれぞれ
遣繰
(
やりくり
)
をしているか。
壊滅の序曲
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
二人の苦しい
遣繰
(
やりくり
)
を少しも知らない父親は、来るとすぐ
倅
(
せがれ
)
夫婦につれられて、会場を見せられて感激したが、これまで何一つ面白いものを見たこともない哀れな
老人
(
としより
)
を
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
とても
面白
(
おもしろ
)
い
競漕
(
きやうそう
)
などは
出來
(
でき
)
ない、
時々
(
とき/″\
)
やつて
見
(
み
)
たが、「ハンデー」やら
其他
(
そのほか
)
樣々
(
さま/″\
)
の
遣繰
(
やりくり
)
やらで、いつも
無邪氣
(
むじやき
)
な
紛着
(
もんちやく
)
が
起
(
おこ
)
つて、
墨田川
(
すみだがは
)
の
競漕
(
きやうそう
)
の
樣
(
やう
)
に
立派
(
りつぱ
)
には
行
(
ゆ
)
かぬのである。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
誰に習っていつ覚えた
遣繰
(
やりくり
)
だか、小皿の小鳥に紙を
蔽
(
おお
)
うて、
煽
(
あお
)
って散らないように
杉箸
(
すぎばし
)
をおもしに置いたのを取出して、
自棄
(
やけ
)
に茶碗で呷った処へ——あの、
跫音
(
あしおと
)
は——お澄が来た。
鷭狩
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
何
(
いず
)
れ
直
(
すぐ
)
に御辞儀は仕まいが、俺などが来て随分
鼓吹
(
こすい
)
宣伝した為に第一此方等が今迄の人間見てエに黙らされちゃア居ねエ、思う存分役人の前でスッパ抜いてやるから、何と
遣繰
(
やりくり
)
したって
監獄部屋
(新字新仮名)
/
羽志主水
(著)
今までだつて、私が
遣繰
(
やりくり
)
一ツで
維持
(
もた
)
せてゐたればこそ、居られたもの。そこへお前が帰つて来ては、三人口の明日の日を、どうして行かうといふところへ、お前は少しも気が注かぬかえ。
誰が罪
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
この上に知行を分けられては、お納戸の
遣繰
(
やりくり
)
が付かなくなるからである。
名君忠之
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
こう云う文士はぜひとも上流社会と同じような物質的生活をしようとしている。そしてその目的を遂げるために、財界の老錬家のような
辣腕
(
らつわん
)
を
揮
(
ふる
)
って、巧みに自家の資産と芸能との
遣繰
(
やりくり
)
をしている。
田舎
(新字新仮名)
/
マルセル・プレヴォー
(著)
幾月
(
いくつき
)
も苦しい
遣繰
(
やりくり
)
や
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
長い長い留守居の後で、お俊姉妹は
漸
(
ようや
)
く父の実と一緒に成れたのである。この二人の娘は叔父達の力と、母お
倉
(
くら
)
の
遣繰
(
やりくり
)
とで、
僅
(
わず
)
かに保護されて来たようなものであった。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
何うにも
遣繰
(
やりくり
)
のつかないことは、女達に言はれなくとも、今まで住居などには全く何の注意をも払はなかつた、又た払ふ余裕もなかつた津島自身が痛感してゐるのであつた。
風呂桶
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
そのために、証書の金額は、年一年増えて行つたものゝ、
何
(
ど
)
うにか
遣繰
(
やりくり
)
は付いてゐた。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
或ものは
外
(
おもて
)
を張らざるべからざる為の
遣繰
(
やりくり
)
なるべしと言ひ、或ものは
隠遊
(
かくれあそび
)
の風流債ならんと説くもありて、この不思議の負債とその美き妻とは、遊佐に過ぎたる物が二つに数へらるるなりき。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
山の奥へでも一所にといいたい処を、それは
遣繰
(
やりくり
)
の様子も知っておりますことなり、まだ嫁入はいたしたくございません、
我儘
(
わがまま
)
を申しますようで恐入りますけれども、奉公がしとうございますと
政談十二社
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
段々
展
(
ひろ
)
げて行った遠い
顧客先
(
とくいさき
)
まわりをして、どうかすると、夜遅くまで帰って来ないお島には解らないような、苦しい
遣繰
(
やりくり
)
が持切れなくなって来たとき、小野田の計画で到頭そこを引払って
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
遣
常用漢字
中学
部首:⾡
13画
繰
常用漢字
中学
部首:⽷
19画
“遣繰”で始まる語句
遣繰り
遣繰仕事
遣繰身上