赫灼かくしやく)” の例文
正に是れ光格天皇御即位の年、江戸の将軍徳川家治の在職十九年、田沼意次おきつぐ父子君寵をたのんで威権赫灼かくしやくたる時となす。
頼襄を論ず (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
も一つの追憶も、其頃の事、何方が先であつたか忘れたが、矢張夏の日の赫灼かくしやくたる午後の出来事と憶えてゐる。
二筋の血 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
それからあいちやんはきのこめて(衣嚢ポケツトなかつたもう一かけの)ほとんど一しやくばかりの身長せいになつて、そのちひさなみちくだつてき、やがて——あいちやんはつひ赫灼かくしやくとしてあやなる花壇くわだん
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
抑も辻行灯つじあんどうすたれて電気灯でんきとう光明くわうみやう赫灼かくしやくとして闇夜やみよなき明治めいぢ小説せうせつ社会しやくわいに於ける影響えいきやう如何いかん。『戯作げさく』と云へる襤褸ぼろぎ『文学ぶんがく』といふかむりけしだけにても其効果かうくわいちゞるしくだいなるはらる。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
赫灼かくしやくたる夏の女王ぢよわうの登場。
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
突如、梵天ぼんてんの大光明が、七彩赫灼かくしやく耀かがやきを以て、世界開発かいほつの曙の如く、人天にんてん三界を照破した。
葬列 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
光明くわうみやう赫灼かくしやくのなかに
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
一度其赫灼かくしやくたる霊光の人の胸中に宿るや嬋妍せんけんたる柳眉玉頬りうびぎよくけふの佳人をして、猶這般しやはん天馬空を行くの壮事あらしむる也。れ信念は霊界の巨樹也。地上の風に其一葉をだもふるひ落さるゝ事なし。
閑天地 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)