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赤兒
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あかご
さうして
半ば
豫期してゐる
赤兒の
泣聲が
聞えないと、
却つて
何かの
變でも
起つたらしく
感じて、
急いで
宅へ
飛び
込んで、
自分と
自分の
粗忽を
耻づる
事があつた。
池は
葦の
戰ぎに
美しい
小波が
立ちました——ガラ/\
鳴る
茶碗はチリン/\と
響く
鈴に、
女王樣の
金切聲は
牧童の
聲と
變じました——
而して
赤兒の
嚏、グリフォンの
鋭い
聲、
其他不思議な
聲々は
宗助の
手際では、
室内に
煖爐を
据ゑ
付ける
設備をする
丈でも
容易ではなかつた。
夫婦はわが
時間と
算段の
許す
限りを
盡して、
專念に
赤兒の
命を
護つた。けれども
凡ては
徒勞に
歸した。