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賺
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す
ふりがな文庫
“
賺
(
す
)” の例文
云う事がイクラカ筋立って来た頃を
見計
(
みはから
)
って、なだめつ
賺
(
す
)
かしつしながら色々と事情を聞き
訊
(
ただ
)
してみますと……色情倒錯どころの騒ぎではない。
キチガイ地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
両刑事は彼をどうかして自白させようと、或いは脅し、或いは
誑
(
だま
)
し
賺
(
す
)
かして妻子を
枷
(
かせ
)
に彼を釣ったかも知れない。
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
この子は、どうせ誰かに思ひ切つて
宥
(
なだ
)
めたり、
賺
(
す
)
かされたりしなければ、いのちの芽を吹かない子なのです。
川
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
「
乾山
(
けんざん
)
の皿はどっさりあったのだが、みんな、法印に
賺
(
す
)
かされて、もってってしまわれやがった。」
旧聞日本橋:23 鉄くそぶとり(続旧聞日本橋・その二)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「あら、また坊ばちゃんの話だ」と姉さんが笑うと、妻君は「坊ばはあとでなさい。雪江さんの御話がすんでから」と
賺
(
す
)
かして見る。坊ばはなかなか聞きそうにない。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
思わず骨も砕くるばかり、しっかと
縋
(
すが
)
って離れぬのを、
賺
(
す
)
かして、帯をしめさせて、胸を
掻合
(
かきあわ
)
せてやって、落散った駒下駄を
穿
(
は
)
かせて、手を引いて交番を出ようとする時
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
但し欲楽の満足を与へ栄華の十分を享けしむるは、
木葉
(
このは
)
を与へて児の啼きを
賺
(
す
)
かす其にも増して愚のことなり、世を捨つる人がまことに捨つるかは捨てぬ人こそ捨つるなりけれ
二日物語
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
悪鬼と云おうか……あの男のためにまア
妾
(
わたし
)
は……これまでどんなに、まあどんなに……苦しめられ苦しめられたことか! ……
騙
(
だま
)
され
賺
(
す
)
かされ
怯
(
おび
)
やかされ、旅でさんざん苦しめられた。
剣侠
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
しゃくられて、放心して人の顔ばかり視ていたお鍋は初めて心附き、
倉皇
(
あわてて
)
箸
(
はし
)
を棄ててお勢の
傍
(
そば
)
へ飛んで来て、いろいろに
賺
(
す
)
かして連れて行こうとするが、仲々素直に連れて行かれない。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
綿貫さいもうちょっと寛大な気持になったら、この先三人が仲好うして行かれへんいうはずないやないか——と、一方では綿貫の痛いとこおさえてて、
賺
(
す
)
かしたり
威嚇
(
おど
)
したりしなさって
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「さては彼の虎めに
喰
(
く
)
はれしか、今一足早かりせば、
阿容々々
(
おめおめ
)
他
(
かれ
)
は殺さじものを」ト、
主人
(
あるじ
)
は
悶蹈
(
あしずり
)
して
悔
(
くや
)
めども、さて
詮術
(
せんすべ
)
もあらざれば、悲しみ狂ふ花瀬を
賺
(
す
)
かして、その場は漸くに済ませしが。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
委細
(
ゐさい
)
に聞て其場へ立出
樣々
(
さま/″\
)
諫
(
いさ
)
め
賺
(
す
)
かせし末
畢竟
(
ひつきやう
)
花街
(
くるわ
)
の小夜衣とか云
娼妓
(
おいらん
)
も長庵とは
伯父
(
をぢ
)
姪
(
めひ
)
とかの中成なれば一ツ
穴
(
あな
)
の
貉
(
むじな
)
ならん然すれば勿々
油斷
(
ゆだん
)
は
成
(
なら
)
ず
旁々
(
かた/″\
)
以て小夜衣が事は
判然
(
さつぱり
)
思ひ
切
(
きり
)
再度
(
ふたゝび
)
廓
(
くるわ
)
へ
行
(
ゆか
)
れぬ樣此久八が願ひなりと
猶
(
なほ
)
眞實
(
しんじつ
)
に
委曲
(
こま/″\
)
との
意見
(
いけん
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
汝が述べたるところの如きは円顱の愚物が常套の談、醜し、醜し、
将
(
もち
)
帰り去れ、
※※
(
こそん
)
が
瞋
(
いかり
)
を
賺
(
す
)
かす
胡餅
(
こべい
)
の一片、朕を欺かんとや、迂なり迂なり、想ひ見よ、そのかみ朕此讃岐の涯に来て
二日物語
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
枕に就いて、この見える時は、実際子守唄で
賺
(
す
)
かされるように寝られる。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
賺
漢検1級
部首:⾙
17画