)” の例文
云う事がイクラカ筋立って来た頃を見計みはからって、なだめつかしつしながら色々と事情を聞きただしてみますと……色情倒錯どころの騒ぎではない。
キチガイ地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
両刑事は彼をどうかして自白させようと、或いは脅し、或いはだまかして妻子をかせに彼を釣ったかも知れない。
支倉事件 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
この子は、どうせ誰かに思ひ切つてなだめたり、かされたりしなければ、いのちの芽を吹かない子なのです。
(新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
乾山けんざんの皿はどっさりあったのだが、みんな、法印にかされて、もってってしまわれやがった。」
「あら、また坊ばちゃんの話だ」と姉さんが笑うと、妻君は「坊ばはあとでなさい。雪江さんの御話がすんでから」とかして見る。坊ばはなかなか聞きそうにない。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
思わず骨も砕くるばかり、しっかとすがって離れぬのを、かして、帯をしめさせて、胸を掻合かきあわせてやって、落散った駒下駄を穿かせて、手を引いて交番を出ようとする時
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
但し欲楽の満足を与へ栄華の十分を享けしむるは、木葉このはを与へて児の啼きをかす其にも増して愚のことなり、世を捨つる人がまことに捨つるかは捨てぬ人こそ捨つるなりけれ
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
悪鬼と云おうか……あの男のためにまアわたしは……これまでどんなに、まあどんなに……苦しめられ苦しめられたことか! ……だまされかされおびやかされ、旅でさんざん苦しめられた。
剣侠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
しゃくられて、放心して人の顔ばかり視ていたお鍋は初めて心附き、倉皇あわててはしを棄ててお勢のそばへ飛んで来て、いろいろにかして連れて行こうとするが、仲々素直に連れて行かれない。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
綿貫さいもうちょっと寛大な気持になったら、この先三人が仲好うして行かれへんいうはずないやないか——と、一方では綿貫の痛いとこおさえてて、かしたり威嚇おどしたりしなさって
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「さては彼の虎めにはれしか、今一足早かりせば、阿容々々おめおめかれは殺さじものを」ト、主人あるじ悶蹈あしずりしてくやめども、さて詮術せんすべもあらざれば、悲しみ狂ふ花瀬をかして、その場は漸くに済ませしが。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
委細ゐさいに聞て其場へ立出樣々さま/″\いさかせし末畢竟ひつきやう花街くるわの小夜衣とか云娼妓おいらんも長庵とは伯父をぢめひとかの中成なれば一ツあなむじなならん然すれば勿々油斷ゆだんなら旁々かた/″\以て小夜衣が事は判然さつぱり思ひきり再度ふたゝびくるわゆかれぬ樣此久八が願ひなりとなほ眞實しんじつ委曲こま/″\との意見いけん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
汝が述べたるところの如きは円顱の愚物が常套の談、醜し、醜し、もち帰り去れ、※※こそんいかりかす胡餅こべいの一片、朕を欺かんとや、迂なり迂なり、想ひ見よ、そのかみ朕此讃岐の涯に来て
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
枕に就いて、この見える時は、実際子守唄でかされるように寝られる。
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)