あげつら)” の例文
ティメオが魂についてあげつらふところは、こゝにて見ゆる物に似ず、これ彼はそのいふごとく信ずと思はるゝによりてなり 四九—五一
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
記念すべき祭典の欠点を殊更あげつらふのは心なきわざではあらうが、二年経た今なほかうした印象や感想は消えずにある。
君臣相念 (新字旧仮名) / 亀井勝一郎(著)
くやしかも、く來まさず。吾は黄泉戸喫よもつへぐひ一一しつ。然れども愛しき我が汝兄なせの命、入り來ませることかしこし。かれ還りなむを。しまらく黄泉神よもつかみあげつらはむ。
しかし君の過去と現在はどうであらうか? 僕はいよいよ君の世界どころか、君といふ人間そのものをさへもあげつらふやうなことになつたが、許して欲しいのだ。
続生活の探求 (旧字旧仮名) / 島木健作(著)
恐らくこれは自分一人でなく、世の劇評家諸氏といへども、歌舞伎劇に對するやうに、容赦なくうまいまづいをあげつらふのでなく、割引に割引をして見るのに違ひない。
世界は色の世界である、形は色の残骸なきがらである。残骸をあげつらって中味のうまきを解せぬものは、方円のうつわかかわって、盛り上る酒のあわをどう片づけてしかるべきかを知らぬ男である。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「もののふの八十氏川やそうじがわ網代木あじろぎにいざよふ波のゆくへ知らずも」の歌を前に八田などの歌と共に挙げてかにかくとあげつらひしかば、八田などの歌と同じさまにそしりたりと思はれたるにや
人々に答ふ (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
圓右、圓馬、先代圓生(五代目)、現志ん生(五代目)、現馬楽(五代目)とこれだけの人たちの「文七元結」がいま私の耳にのこっているが、その巧拙良否のあげつらいはここでは書くまい。
京山、種彦、馬琴の三文士をあげつらひて、京山を賞揚せられたるは愛山生なり。
人生に相渉るとは何の謂ぞ (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
花崗閃緑 削剥の、 時代はもろあげつらふ。
文語詩稿 一百篇 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
各〻外見みえのために力め、さま/″\の異説を立つれば、これらはまた教を説く者のあげつらふところとなりて福音ものいはじ 九四—九六
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
しかれどもかみ和ぎ、しもむつびて、事をあげつらふにかなふときは、すなは事理ことわり自らに通ふ、何事か成らざらむ。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
まことに知る、鏡を懸け珠を吐きたまひて、百の王相續き、劒ををろちを切りたまひて、萬の神蕃息はんそくせしことをやすかははかりて天の下をことむけ、小濱をばまあげつらひて國土を清めたまひき。
ここにあげつらうことにしたのであるが、いま久々に読み返してみて花嫁入水前後のくだり、江島屋の番頭金兵衛が呪いの老婆にめぐりあうくだり、この二席のほかは圓朝物としてはおよそ不傑作であり
あたかも學士が、師の問をおこすを待ちつゝ、これをあげつらはんため——これをきむるためならず——もだして備を成すごとく 四六—四八
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)