討取うちと)” の例文
るにはるがあづけてある。いきほへいわかたねばらない。くれから人質ひとじちはひつてゐる外套ぐわいたう羽織はおりすくひだすのに、もなく八九枚はつくまい討取うちとられた。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
見當り次第しだい討取うちとつて夫に手向たむけんと思ひせがれ太七をよび勘兵衞殿は其方のためじつの親には有ねども六ヶ年のあひだ世話せわになりたれば親に違ひなし彌七を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それにたふれをりまするをとこ御親戚ごしんせきのマーキューシオーどのを殺害せつがいしましたるをロミオとまう若人わかうど討取うちとってござります。
そして、君はそれを知らないでは、蛇の髪をしたメヅサの首を首尾よく討取うちとることは決して出来ない。その眼をしっかりとつかんでいるんだよ。そうすれば万事うまく行くんだから。
片手かたてづまみの大皿おほざらすしは、鐵砲てつぱう銃口すぐちそろへ、めざすてきの、山葵わさびのきいたあかいのはとくのむかし討取うちとられて、遠慮ゑんりよをした海鰻あなごあまいのがあめのやうに少々せう/\とろけて、はまぐりがはがれてる。
祭のこと (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いたはくれ候間惡人とはすこしも心得ず又彌七儀は私しには少し身寄みよりの者故勘兵衞儀奉公の受人うけにんと相成候處かれ取迯とりにげよりことおこりて終に御仕置に相成候得ば御公儀樣ごこうぎさまには御道理ごもつともの御仕置にも有べきが私しどもの身には彌七は本夫をつとかたきゆゑ討取うちとり候に違ひなく如何樣の御仕置に仰付おほせつけられ候とも御恨おうらみとは存じ奉つらずと思ひんで申を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)