“色目(いろめ)” の例文
刑台に据えられた花世の着ている浮線織赤色唐衣(からぎぬ)は、最後の日のためにわざわざ織らせたのだというが、舞いたつような色目(いろめ)のなかにも、十六歳の少女の心の乱れが
無月物語 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
新潮二月号所載藤森淳三(ふじもりじゆんざう)氏の文(宇野浩二(うのかうじ)氏の作と人とに関する)によれば、宇野氏は当初軽蔑してゐた里見弴(さとみとん)氏や芥川龍之介(あくたがはりゆうのすけ)に、色目(いろめ)を使ふやうになつたさうである。
解嘲 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
楚々(そゝ)として且(か)つもの思(おも)はしげに、唯(たゞ)一人(ひとり)渚(なぎさ)を辿(たど)り來(き)た此(こ)の美女(びぢよ)に逢(あ)つて、遠慮(ゑんりよ)なく色目(いろめ)づかひをして、目迎(めむか)へ且(か)つ見送(みおく)つて、何(ど)うだと云(い)ふ例(れい)の本領(ほんりやう)を發揮(はつき)したのがはじまりである。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
ともあれ勘藏(かんざう)といふものある以上(いじやう)なまなかの事(こと)言出(いひだ)して疑(うたが)ひの種(たね)になるまじとも言(い)ひ難(がた)しお爲(ため)にならぬばかりかは彼(か)の人(ひと)との逢瀬(あふせ)のはしあやなく絶(たえ)もせば何(なに)かせん然(さ)るべき途(みち)のなからずやと惑(まど)ふは心(こゝろ)つゝむ色目(いろめ)に何(なに)ごとも顯(あら)はれねど出嫌(でぎら)ひと聞(きこ)えしお高(たか)昨日(きのふ)は池(いけ)の端(はた)の師匠(ししやう)のもとへ今日(けふ)は
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
思想の色目(いろめ)を変えるのにいそがしく、頭脳の発達は、高校の一年生ぐらいのところでとまったが、ベッドにしばりつけられて、天井ばかりながめて暮らしているうちに
我が家の楽園 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
刑台に据えられた花世が着ている浮線織の赤色唐衣(からぎぬ)は、最後の日のためにわざわざ織らせたものだといわれるが、舞いたつような色目(いろめ)のなかにも、十六歳の気の毒な少女の心の乱れが
無月物語 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)