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脱棄
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ぬぎす
ふりがな文庫
“
脱棄
(
ぬぎす
)” の例文
暗いところで小父の
脱棄
(
ぬぎす
)
てを畳んでいながら、二人の言合いをおそろしくも浅ましくも思ったお庄は、
終
(
しま
)
いに突っ伏して笑い出した。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
おつぎは
默
(
だま
)
つて
草履
(
ざうり
)
を
脱棄
(
ぬぎす
)
てゝ
座敷
(
ざしき
)
へ
駈
(
か
)
けあがつて、
戸棚
(
とだな
)
から
小
(
ちひ
)
さな
古
(
ふる
)
い
新聞紙
(
しんぶんし
)
の
袋
(
ふくろ
)
を
探
(
さが
)
し
出
(
だ
)
して、
自分
(
じぶん
)
の
手
(
て
)
の
平
(
ひら
)
へ
少
(
すこ
)
し
砂糖
(
さたう
)
をつまみ
出
(
だ
)
して
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
ひたひたと
絡
(
まつわ
)
る水とともに、ちらちらと
紅
(
くれない
)
に目を遮ったのは、
倒
(
さかさま
)
に映るという釣鐘の竜の炎でない。
脱棄
(
ぬぎす
)
てた草履に早く戯るる一羽の赤蜻蛉の影でない。
夫人利生記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
かくいひつつ
被
(
かぶ
)
りし帽を
脱棄
(
ぬぎす
)
てて、こなたへふり向きたる顔は、
大理石脈
(
だいりせきみゃく
)
に熱血
跳
(
おど
)
る如くにて、風に吹かるる金髪は、
首
(
こうべ
)
打振りて長く
嘶
(
いば
)
ゆる
駿馬
(
しゅんめ
)
の
鬣
(
たてがみ
)
に似たりけり。
うたかたの記
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
窃
(
そッ
)
と格子戸の
中
(
うち
)
を覗いて見ると、赤い鼻緒や海老茶の鼻緒のすがった奇麗な駒下駄が三四足行儀よく並んだ中に、一足
紫紺
(
しこん
)
の鼻緒の可愛らしいのが片隅に遠慮して小さく
脱棄
(
ぬぎす
)
ててある。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
▼ もっと見る
汝等
(
なんぢら
)
二
人
(
にん
)
の
由
(
よし
)
も
無
(
な
)
き
爭論
(
あらそひ
)
が
原
(
もと
)
となって、
同胞
(
どうばう
)
の
鬪諍
(
とうぢょう
)
既
(
すで
)
に
三度
(
みたび
)
に
及
(
およ
)
び、
市内
(
しない
)
の
騷擾
(
さうぜう
)
一方
(
ひとかた
)
ならぬによって、
當
(
たう
)
ヹローナの
故老共
(
こらうども
)
、
其身
(
そのみ
)
にふさはしき
老實
(
らうじつ
)
の
飾
(
かざり
)
を
脱棄
(
ぬぎす
)
て、
何
(
なん
)
十
年
(
ねん
)
と
用
(
もち
)
ひざりしため
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
お庄は座敷で叔父の
脱棄
(
ぬぎす
)
てを畳みながら今日も夜まで引っかかっているのかと思った。叔母は箪笥の上に置いた紙入れのなかを
検
(
しら
)
べなどしていた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
これのみにても
眼覚
(
めざま
)
しきに、
肩掛
(
ショオル
)
をぱっと
脱棄
(
ぬぎす
)
てたり。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
新吉に
寝衣
(
ねまき
)
を着せて床の中へ入れてから、自分はまたひとしきり、
脱棄
(
ぬぎす
)
てを畳んだり、火鉢の火を消したりしていた。
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
脱
常用漢字
中学
部首:⾁
11画
棄
常用漢字
中学
部首:⽊
13画
“脱”で始まる語句
脱
脱兎
脱出
脱殻
脱線
脱捨
脱落
脱疽
脱走
脱却