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羊羹色
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ようかんいろ
ふりがな文庫
“
羊羹色
(
ようかんいろ
)” の例文
羊羹色
(
ようかんいろ
)
の着流し、不精らしく懐手をして、一刀を落した浪人体の男は、大通りから入って、丸山湯の方へ差掛かったのでした。
銭形平次捕物控:027 幻の民五郎
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
家
(
うち
)
では阿母さんが一番気の毒だ。………併し阿父さんも、あんな
羊羹色
(
ようかんいろ
)
のフロツクしか無いんだもの、知事さんの前なんかで
体裁
(
きまり
)
が悪るからう。
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
それもスコッチの毛の
摩
(
す
)
れてなくなった
鳶色
(
とびいろ
)
の古背広、上にはおったインバネスも
羊羹色
(
ようかんいろ
)
に黄ばんで、右の手には犬の頭のすぐ取れる安ステッキをつき
少女病
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
謂わば、
羊羹色
(
ようかんいろ
)
である。薄赤い縦横の縞は、不潔な渋柿色を呈して老婆の着物のようである。私は今更ながら、その着物の奇怪さに
呆
(
あき
)
れて顔をそむけた。
服装に就いて
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
その男は
羊羹色
(
ようかんいろ
)
の背広を着て、体操に使う
球竿
(
きゅうかん
)
のような細い脚を、鼠の粗い縞のズボンに通している。
父
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
羊羹色
(
ようかんいろ
)
になった黒セルの夏服、汚れた鳥打帽、大きな塵よけ
目鏡
(
めがね
)
、赤革の長靴という出立ちだ。そして自動車を呼んで、客席へは乗らず、本物の運転手の隣へ腰かけた。
黄金仮面
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
中年増は僕をこの
間
(
ま
)
に案内して置いて、どこか行ってしまった。僕は例の黒羽二重の
羊羹色
(
ようかんいろ
)
になったのを着て、鉄の長烟管を持ったままで、箱火鉢の前の座布団の上に
胡坐
(
あぐら
)
をかいた。
ヰタ・セクスアリス
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「ええ……とんと早や、影法師も同然なもので。」と
掠
(
かす
)
れ声を白く出して、黒いけんちゅう
羊羹色
(
ようかんいろ
)
の
被布
(
ひふ
)
を着た、
燈
(
ともしび
)
の影は、赤くその
皺
(
しわ
)
の中へさし込んだが、日和下駄から消えても
失
(
う
)
せず
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
大滝村
(
おおたきむら
)
という処に不動様がありまして、その
側
(
わき
)
に掛茶屋があって、これに腰を掛けて居ります
武士
(
さむらい
)
は、少し
羊羹色
(
ようかんいろ
)
ではありますが黒の羽織を着て、大小を差して紺足袋に
中抜
(
なかぬき
)
の草履を
穿
(
は
)
き
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それにこれ下着が
羊羹色
(
ようかんいろ
)
の黒竜門、ゆきたけの
不揃
(
ふぞろ
)
いなところが自慢でげして、下がこうごうぎと長くて、上へ参るにつれてだんだんに短く、上着は五寸も詰った、もえるのツンツルテン
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
帶し
月代
(
さかやき
)
は
森
(
もり
)
のごとくに
生
(
はえ
)
て
色
(
いろ
)
赤黒
(
あかくろ
)
く
眼
(
まなこ
)
尖
(
する
)
どく
晃々
(
きら/″\
)
と光りし顏色にて殊に衣類は
羊羹色
(
ようかんいろ
)
なる黒のもん付の小袖に
古
(
ふる
)
き小倉の
帶
(
おび
)
をしめ
長刀形
(
なぎなたなり
)
になりたる
草鞋
(
わらぢ
)
を
穿
(
はき
)
ながら
臑
(
すね
)
にて
尻
(
しり
)
を
端折
(
はしより
)
また
傍邊
(
かたはら
)
の
杖
(
つゑ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
羊羹色
(
ようかんいろ
)
の制服の上にとぼけたようにのっけて、天井を見ながらのっそりと教壇に上って来るくせがあったが、その様子が、不思議に児童たちの気持を真面目にもし、またなごやかにもするのだった。
次郎物語:02 第二部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
前ぶれ通り、存分に野暮ったい四十五六の武家、羽織の
紐
(
ひも
)
を
観世縒
(
かんぜより
)
で
括
(
くく
)
って、山の入った
袴
(
はかま
)
、折目高の羽織が、少し
羊羹色
(
ようかんいろ
)
になっていようという、典型的な御用人です。
銭形平次捕物控:098 紅筆願文
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
羊羹色
(
ようかんいろ
)
の
丈
(
たけ
)
の短いインバネス、その下から二十年も昔流行した、荒い柄の、薄汚れた縞ズボン、破れ歪んだパテント・レザーの礼装靴が見えているという、怪奇映画の主人公みたいな人物だ。
妖虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「紋のない紋付というものはあるまい。
羊羹色
(
ようかんいろ
)
でも羽二重なら、紋ぐらいはあったはずだ」
銭形平次捕物控:036 八人芸の女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
勝手な独り言を言いながら、少しやり過して、
件
(
くだん
)
の七つ下がりの
羊羹色
(
ようかんいろ
)
浪人の後から跟け始めました。それから大通りをしばらく行って、路地を二つ三つ曲ると、とある路地の中へ。
銭形平次捕物控:008 鈴を慕う女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
手に残ったのは少し
羊羹色
(
ようかんいろ
)
になった羽二重の羽織で、紋は、丸に
鷹
(
たか
)
の
羽
(
は
)
の
打
(
ぶ
)
っ
違
(
ちが
)
い、ざらにある紋ですが、——高木家の
定紋
(
じょうもん
)
もこれと同じもの——と、お紋はそっと平次に
囁
(
ささや
)
きました。
銭形平次捕物控:027 幻の民五郎
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
羊
常用漢字
小3
部首:⽺
6画
羹
漢検1級
部首:⽺
19画
色
常用漢字
小2
部首:⾊
6画
“羊羹”で始まる語句
羊羹
羊羹箱