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縫物
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ぬいもの
ふりがな文庫
“
縫物
(
ぬいもの
)” の例文
これは
正
(
まさ
)
しく男の
児
(
こ
)
なりき。同じ村山口なる佐々木氏にては、母人ひとり
縫物
(
ぬいもの
)
しておりしに、次の間にて紙のがさがさという音あり。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
気のせいであったと分ると、お通はさびしさに
囚
(
とら
)
われて、もう
袖付
(
そでつけ
)
と襟さえ縫えば仕立てあがる
縫物
(
ぬいもの
)
にも、つい身が入らなくなってしまう。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
細君の方は附近の娘たちに
縫物
(
ぬいもの
)
を教えているということなど、だんだん分って来ると、またその特殊な二人の生活が一層私の興味を動かした。
睡蓮
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
けれども、ママはお
仕事
(
しごと
)
の手を
止
(
や
)
めようともしないで——一
体
(
たい
)
あんなにのべつ
縫物
(
ぬいもの
)
ばかりして何が
面白
(
おもしろ
)
いんだろう!——
不足
(
ふそく
)
そうな声でいった。
身体検査
(新字新仮名)
/
フョードル・ソログープ
(著)
その時彼女は居間で一寸した
縫物
(
ぬいもの
)
をしていたが、そこへ女中が先に貼つけた春泥の手紙を持って来た。
陰獣
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
▼ もっと見る
源
(
げん
)
だの、
六
(
ろく
)
だの、
腕白
(
わんぱく
)
どもの多い中に、
坊
(
ぼう
)
ちやん/\と別ものにして
可愛
(
かわい
)
がるから、姉はなし、
此方
(
こなた
)
からも
懐
(
なつ
)
いて、ちよこ/\と入つては、
縫物
(
ぬいもの
)
を
交返
(
まぜかえ
)
す、
物差
(
ものさし
)
で刀の真似
処方秘箋
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
細々
(
ほそぼそ
)
ながら
人
(
ひと
)
の
縫物
(
ぬいもの
)
などをさせてもらって、その
日
(
ひ
)
その
日
(
ひ
)
を
過
(
す
)
ごして
早
(
はや
)
くも十八
年
(
ねん
)
。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
その時奥さんは
縁側
(
えんがわ
)
に出て手ミシンで
縫物
(
ぬいもの
)
をしていました。顔は
百合
(
ゆり
)
の花のような血の気のない顔、頭の毛は
喪
(
も
)
のベールのような黒い
髪
(
かみ
)
、しかして
罌粟
(
けし
)
のような赤い毛の
帽子
(
ぼうし
)
をかぶっていました。
真夏の夢
(新字新仮名)
/
アウグスト・ストリンドベリ
(著)
茶の間に座って
冬仕度
(
ふゆじたく
)
の
縫物
(
ぬいもの
)
をしていると玄から電話がかかって来た。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
女はそこにさっきから、
縫物
(
ぬいもの
)
か何かしているらしい。
母
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
といいながら、せっせと
縫物
(
ぬいもの
)
をはじめた。
碁石を呑んだ八っちゃん
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
林冲
(
りんちゅう
)
の洗濯物や
縫物
(
ぬいもの
)
を見てくれたり、
肉饅頭
(
にくまんじゅう
)
をおいていったり、とにかく気心のいい夫婦なので、林冲もとんだいい知人をえたと、よろこんでいた。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その晩、強右衛門は部屋へさがって、ただひとり、針を持って、
縫物
(
ぬいもの
)
をしていた。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
気をまぎらわすため、
縫物
(
ぬいもの
)
を出して、
行燈
(
あんどん
)
の
下
(
もと
)
に針を運びはじめたけれど、夜が更けても、上と下との気まずい沈黙がよけいに家の中を陰気にするばかり。そして、
滅入
(
めい
)
りがちな心の奥で
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「なぜその
閑
(
ひま
)
に、亭主の晩の酒代の
足
(
た
)
しにでもなるように、魚でも
漁
(
と
)
るとか、縄でも
綯
(
な
)
うとか、
他人
(
ひと
)
の仕事の
縫物
(
ぬいもの
)
でもするとか、
小費
(
こづか
)
いの
多足
(
たそく
)
になることを考えねえのだ——この浮気者め」
鑿
(
のみ
)
を
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と思い、この頃のように、独り悩んでいる複雑な気持は、そうした
処女心
(
おとめごころ
)
からいつのまにか遠くなっている証拠でもあろうかと考えて来て、針を運ぶ
縫物
(
ぬいもの
)
のうえに、何とはなくほろりと涙がこぼれた。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
邦通は、女のように針をもって
縫物
(
ぬいもの
)
をしていた。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
縫
常用漢字
中学
部首:⽷
16画
物
常用漢字
小3
部首:⽜
8画
“縫物”で始まる語句
縫物師
縫物子