“多足”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
たそく60.0%
たし40.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「悪人とはいえ、天蔵も身内の一人、犬死さすより、せめて鉄砲の試しにでも、役立たせてやれば、幾分でも世の多足たそくになろう。はやくして来い」
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これから其様な事を云うとお祖父さんは最う決して構いませんよ、わしも何うかしてお前の多足たそくに成るようにと思って、年寄骨としよりぼねはたの仕分をているのに、其様な弱いを吐くとかんぞ
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
仏様はあがめてもよいし、学問も尊重してよいが、生々しい政争と合戦のちまたにいては、そんなものは心のさまたげにこそなれ、多足たしにはならないと決めているのである。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なんの多足たしになるだらうか! その容貌に、その肉体に、その魂に、全く特別の用はないばかりか、蕗子が叔父の思ひものである点からも、別れることがむしろ私に有利の事情を生むばかりだ。
狼園 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)