多足たし)” の例文
仏様はあがめてもよいし、学問も尊重してよいが、生々しい政争と合戦のちまたにいては、そんなものは心のさまたげにこそなれ、多足たしにはならないと決めているのである。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なんの多足たしになるだらうか! その容貌に、その肉体に、その魂に、全く特別の用はないばかりか、蕗子が叔父の思ひものである点からも、別れることがむしろ私に有利の事情を生むばかりだ。
狼園 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)