多足たそく)” の例文
「悪人とはいえ、天蔵も身内の一人、犬死さすより、せめて鉄砲の試しにでも、役立たせてやれば、幾分でも世の多足たそくになろう。はやくして来い」
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これから其様な事を云うとお祖父さんは最う決して構いませんよ、わしも何うかしてお前の多足たそくに成るようにと思って、年寄骨としよりぼねはたの仕分をているのに、其様な弱いを吐くとかんぞ
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「なぜそのひまに、亭主の晩の酒代のしにでもなるように、魚でもるとか、縄でもうとか、他人ひとの仕事の縫物ぬいものでもするとか、小費こづかいの多足たそくになることを考えねえのだ——この浮気者め」のみ
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)