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縁傳
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えんづた
けれども、
屏風は
宗助の
申し
出た
通り、
間もなく
奧から
縁傳ひに
運び
出されて、
彼の
眼の
前に
現れた。さうして
夫が
豫想通りつい
此間迄自分の
座敷に
立てゝあつた
物であつた。
三十
分許して
格子ががらりと
開いたので、
御米は
又裁縫の
手を
已めて、
縁傳ひに
玄關へ
出て
見ると、
歸つたと
思ふ
宗助の
代りに、
高等學校の
制帽を
被つた、
弟の
小六が
這入つて
來た。
細君は
惡いとも
云ひ
兼たと
見えて、
其上爭ひもしなかつた。
宗助は
郵便を
持つた
儘、
座敷から
直ぐ
玄關に
出た。
細君は
夫の
足音を
聞いて
始めて、
座を
立つたが、
是は
茶の
間の
縁傳ひに
玄關に
出た。