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絶巓
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ぜってん
ふりがな文庫
“
絶巓
(
ぜってん
)” の例文
其乳房状に尖った
絶巓
(
ぜってん
)
から直に峭り落して、まるで赤煉瓦で積み上げた巨大なる殿堂の壁が猛火に焼け残った儘突立っているようだ。
黒部川奥の山旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
彼は今や黙示の深きに接し、信仰の
絶巓
(
ぜってん
)
に登りて、遥か下に友の
陋態
(
ろうたい
)
を眺むるの余裕を抱いている。故に友の毒矢は彼を怒らせない。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
今年(大正四年七月十八日)に平ヶ岳の
絶巓
(
ぜってん
)
に立って鶴ヶ岳を望見することが出来た、以下その紀行を兼ねた案内記を書くことにする。
平ヶ岳登攀記
(新字新仮名)
/
高頭仁兵衛
(著)
山上の日は静かに暮れて、私達はまだ黙々として、彼の
絶巓
(
ぜってん
)
をながめているうちに、小屋の窓をもれて、赤い灯が積雪の上を照らし初めた。
スウィス日記
(新字新仮名)
/
辻村伊助
(著)
眺めいたるところ、駒ヶ岳の
絶巓
(
ぜってん
)
、地蔵の頭、間の岳、農鳥の絶頂なる、各三角測量標を、歴々と発見いたし候
雪の白峰
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
▼ もっと見る
山峡の
絶巓
(
ぜってん
)
はいくらか平盤な地になっているとみえて、そこに賊の一群が見え「
地公将軍
(
ちこうしょうぐん
)
」と書いた旗や、八
卦
(
け
)
の文を印した黄色の
幟
(
のぼり
)
、
幡
(
はた
)
など立て並べて
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その熱と力とが続く限り、ぼんやり腰を
据
(
す
)
えて周囲の平凡な景色などをながめて満足してはいられない。自分の目には
絶巓
(
ぜってん
)
のない絶巓ばかりが見えていたい。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
そして、我がちに
絶巓
(
ぜってん
)
へと駆け上っていったのであったが、登り詰めたものは我を忘れて声もなく、ただ茫然として今眼の前に開けた大景観に眼を奪われ切っているのであった。
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
道はますます
嶮
(
けわ
)
しくなる、
鋸歯
(
きょし
)
状の小峰を越ゆること五つ六つ、午後二時二十分、最高峰奥穂高「信飛界、奥穂高岳、徹蔵氏」「信飛界、岳川岳、フィシャー氏」の
絶巓
(
ぜってん
)
に攀じ登った。
穂高岳槍ヶ岳縦走記
(新字新仮名)
/
鵜殿正雄
(著)
倒れて居る太い木の幹を踏み越え、痛い草の
刺
(
とげ
)
を分け、
辛
(
かろ
)
うじて武甲山の
絶巓
(
ぜってん
)
に達した時は、天地ぐらぐらとして、今にも太古から動かないでいる大きな蒼い波の上に漂わされそうに思った。
武甲山に登る
(新字新仮名)
/
河井酔茗
(著)
温泉
(
ゆせん
)
岳から金精山や前白根に至る諸峰も指呼の間にある。奥白根の
絶巓
(
ぜってん
)
も何処かでちらと見たようであったが判然しない。
秋の鬼怒沼
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
幸いにもグロース・シュレックホルンの
絶巓
(
ぜってん
)
を極めて、しかも九死に一生を得たと云う、不思議な経験が、いくら考えてもうれしくてならない。
スウィス日記
(新字新仮名)
/
辻村伊助
(著)
遠慮会釈もなく
迅風
(
はやて
)
は山と野とをこめて吹きすさんだ。
漆
(
うるし
)
のような闇が大河の
如
(
ごと
)
く東へ東へと流れた。マッカリヌプリの
絶巓
(
ぜってん
)
の雪だけが燐光を放ってかすかに光っていた。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
と——峠の
絶巓
(
ぜってん
)
に、四方へ竹を立て、
注連縄
(
しめなわ
)
を
結
(
ゆ
)
い、白木の壇を
供
(
そな
)
えた
祈祷場
(
いのりば
)
が見えた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
此処から眺めた奥白根の
絶巓
(
ぜってん
)
は、痛々しく筋骨をむき出してはいるが、山勢頗る峭抜して、
坐
(
そぞ
)
ろに駒ヶ岳から仰いだ北岳の雄姿を偲ばしめるものがある。
秋の鬼怒沼
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
その肩のような雷電峠の
絶巓
(
ぜってん
)
をなでたりたたいたりして
叢立
(
むらだ
)
ち急ぐ
嵐雲
(
あらしぐも
)
は、炉に投げ入れられた紫のような光に燃えて、山ふところの雪までも透明な
藤色
(
ふじいろ
)
に染めてしまう。
生まれいずる悩み
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
啓之助が
放
(
ほう
)
っておくと、こんどは、まだ
絶巓
(
ぜってん
)
には
氷原
(
ひょうげん
)
もあろうというのに、
蟻
(
あり
)
の小道まで
踏破
(
とうは
)
しゆかねば、阿波守への
土産話
(
みやげばなし
)
にならぬといいだして、
駄々
(
だだ
)
な若公卿の本領を発揮し、さんざんに
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
午後二時頃になって風が幾分か
穏
(
おだやか
)
になった様子であるから、槍の
絶巓
(
ぜってん
)
へお伴申上げることになった。
秩父宮殿下に侍して槍ヶ岳へ
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
峠の頂から西に切明けを辿りて尾根を登ること一時間の後には、少しの困難もなく、二千二百八十九米二の
絶巓
(
ぜってん
)
に立ちて、躬恒が秋風の歌を高吟するの人となることが出来る。
秩父の奥山
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
そうすれば地図に示してある路の終点から右の尾根を攀じて、直に
絶巓
(
ぜってん
)
に登るのであろう。路のりは三里で甲武信岳へ登るのと大差なく、一日で楽に上下出来るとの事であった。
秩父の奥山
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
主として南側を
搦
(
から
)
み、十時二十分、長次郎谷の登路と合す。十時四十分、
絶巓
(
ぜってん
)
着。昼食。十一時四十五分、出発。十二時、長次郎谷の雪渓を下り始む。午後一時十分、劒沢の出合。
黒部川奥の山旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
試に鷲羽ヶ岳から白馬岳に至る間に就て見ると、最高点は黒岳であって、三角点の海抜は二千九百七十八米であるが、
絶巓
(
ぜってん
)
の高さは目測では二千九百九十米の上であろうと思われる。
黒部峡谷
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
上辷
(
うわすべ
)
りのする赭色の岩屑を押し出した岩の狭間を
匍
(
は
)
い上って崖端に出ると、偃松の
執念
(
しつこ
)
く
搦
(
から
)
みついた破片岩の急傾斜が
甍
(
いらか
)
の如く波を打って、真黒な岩の大棟を
撐
(
ささ
)
えている。
絶巓
(
ぜってん
)
はすぐ
其処
(
そこ
)
だ。
黒部川奥の山旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
甲武信岳の
絶巓
(
ぜってん
)
に初めて立った時、何よりも先ず意外に感じたのは、附近第一の高峰であろうと信じていた
此
(
この
)
山の北に近く、われを凌駕する無名の高山が、
儼然
(
げんぜん
)
として聳えていることであった。
秩父の奥山
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
三人は更に東南の
絶巓
(
ぜってん
)
を指して山稜を急ぎ登った。
奥秩父の山旅日記
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
絶
常用漢字
小5
部首:⽷
12画
巓
漢検1級
部首:⼭
22画
“絶”で始まる語句
絶
絶間
絶頂
絶望
絶叫
絶壁
絶々
絶念
絶対
絶倫