きづな)” の例文
わが愛これに燃やされしこといかばかりぞや、げに是時にいたるまで、かくうるはしききづなをもて我をつなげるもの一だになし 一二七—一二九
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
思へば三界の火宅くわたくのがれて、聞くも嬉しきまことの道に入りし御身の、欣求淨土ごんぐじやうどの一念に浮世のきづなき得ざりしこそ恨みなれ。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
最近一つのきづなとなつてしまつた彼女の将来を何うしようかといふことが、その間も気にかゝつてゐたには違ひなかつた。
町の踊り場 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
今の勢をもてすれば、その恩義のきづなを斷たんこといとむづかし。人々は我にいかなる苦痛を與へ給はんも、我が受けたるところの恩義は飽くまで恩義なり。
あと一齊に追ひ行かむ、破滅のきづなアカイアの
イーリアス:03 イーリアス (旧字旧仮名) / ホーマー(著)
多くの家族のきづなはどこに行つたか
わがひとに与ふる哀歌 (新字旧仮名) / 伊東静雄(著)
さて誓ひぬ、婚姻の聖ききづな
きたり辛苦しんくさこそなるべけれど奉公大切ほうこうだいじつとたまへとおほせられしがみゝのこりてわすられぬなりれほどにおやさしからずばれほどまでにもなげかじとがたきづなつらしとてひとひまには部屋へやのうちにづみぬいづおとらぬ双美人そうびじんしたはるゝうれしかるべきを
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
我亦斯の如く、かのこみあへるむれの中にてかなたこなたにわが顏をめぐらし、約束をもてそのきづなを絶てり 一〇—一二
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
親にもしゆうにも振りかへて戀のやつことなりしまで慕ひし横笛。世を捨て樣を變へざれば、吾から懸けし戀のきづなく由もなかりし横笛。其の横笛の音づれ來しこそ意外なれ。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
されど汝は誰ぞや——汝我等の状態ありさまをたづね、氣息いきをつきて物いふ、またおもふに目にきづななし。 一三〇—一三二
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
撲たれて既に死に臨むにおよびてきづなはなれし牡牛の歩む能はずしてかなたこなたにぬることあり 二二—二四
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)