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精神病者
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せいしんびょうしゃ
「その
娘は、一
種の
精神病者にちがいなかろう。
診察をして、できることなら
自分の
力でなおしてやりたいものだ。」と
思いました。
私が
医者で、
貴方が
精神病者であると
云うことにおいて、
徳義も
無ければ、
論理も
無いのです。
詰り
偶然の
場合のみです。
精神病者に
相違ないけれど、
花前が人間ちゅうの
廃物でないことは、
畜牛いっさいのことを
弁じて、ほとんどさしつかえなきのみならず、ある
点には、なみの人のおよばぬことをしている。
現今では
精神病者の
治療に
冷水を
注がぬ、
蒸暑きシャツを
被せぬ、そうして
人間的に
彼等を
取扱う、
即ち
新聞に
記載する
通り、
彼等の
為に、
演劇、
舞蹈を
催す。
けれど、
心臓は
正しく
打っており、
肺は
強く
呼吸をし、どこひとつとして
狂っているところはないばかりか、すこしも
精神病者らしいところも
見うけなかったのです。
社会が
犯罪人や、
精神病者や、
総て
自分等に
都合の
悪い
人間に
対して、
自衛を
為すのには、どうしたって
勝つことは
出来ません。で、
貴方の
為すべき
所は一つです。
年の
若い、まじめな
医者は、
金持ちの
家へやってきました。
両親は、
医者の
話を
聞いているうちに、もしや
自分の
娘は、
精神病者でないかというような
疑いを
抱きましたから