“笑(ゑま)” の例文
彼等の物語をば笑(ゑま)しげに傍聴したりし横浜商人体(しようにんてい)の乗客は、幸(さいはひ)に無聊(ぶりよう)を慰められしを謝すらんやうに、懇(ねんごろ)に一揖(いつゆう)してここに下車せり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
郎女が、筆を措いて、にこやかな笑(ゑま)ひを蹲踞するこの人々の背にかけ乍ら、のどかに併し、音もなく、山田の廬堂を立ち去つたのに、心づく者は一人もなかつたのである。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
玲々(さや/\)と聲あつて、神の笑(ゑま)ひの如く、天上を流れた。——朝風の動き初めたのである。
葬列 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
「念はぬに妹が笑(ゑま)ひを夢に見て」(巻四・七一八)等の例がある。「歓(うれ)しみと」の「と」の使いざまは、「歓(うれ)しみと紐の緒解きて」(巻九・一七五三)とある如く、「と云って」の意である。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
うち背(そが)ひ妻を憎めば火と燃えて笑(ゑま)ひひたせまる大き眼おもほゆ
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
去りゆく女が最後にくれる笑(ゑま)ひのやうに
山羊の歌 (新字旧仮名) / 中原中也(著)
『笑(ゑま)ひ』の花(はな)も、『嘆(なげ)かひ』の
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫、薄田淳介(著)
千秋(ちあき)と思へども言はるゝ度に恥(はづ)かしさの先立なれば果敢々々(はか/″\)しき回答(いらへ)もなくて面(おも)はゆげ斯(かゝ)る所ろへ門の戸開け這入(はひり)來るは小西屋の一番管伴(ばんたう)忠兵衞なれば夫と見るより父親(てゝおや)は最(いと)笑(ゑま)し氣(げ)に迎へ上げ忠兵衞どのか能く來ませし今日等は定めし婚姻の日限(にちげん)究(きめ)にお出が有らうと今も今とて娘と二個(ふたり)噂(うはさ)を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
※々(さやさや)と声あつて、神の笑(ゑま)ひの如く、天上を流れた。——朝風の動き初(そ)めたのである。
葬列 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「なでしこが花見る毎に処女らが笑(ゑま)ひのにほひ思ほゆるかも」(巻十八・四一一四)、「秋風に靡(なび)く川びの柔草(にこぐさ)のにこよかにしも思ほゆるかも」(巻二十・四三〇九)の如き歌をも作っている。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
額髪(ぬかがみ)の笑(ゑま)ふ女童(めわらは)このごとくあどなきものを恋ふとありにし
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
日(ひ)を睡蓮(すいれん)のかた笑(ゑま)ひ。
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫、薄田淳介(著)
「笑(ゑま)ひのにほひ」は青年の体に即(つ)いた語でなかなか旨(うま)いところがある。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
死にせりと母が書き來(こ)し文見ればその子が笑(ゑま)ひ力なかりし
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
日を睡蓮のかた笑(ゑま)ひ。
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
死にせりと母が書き来(こ)し文見ればその子が笑(ゑま)ひ力なかりし
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)