とど)” の例文
かく平然自若たるを見て如何にも感嘆の情をとどめることが出来なかったが、やがてソクラテスの眠より覚めるのをって、脱獄を勧めた。
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
かばかり堅固なるかこいの内よりそもいかにして脱け出でけん、なお人形のうしろより声をいだして無法なる婚姻をとどめしも、なんじなるか。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ひげ多く、威厳のある中に何処どことなく優しいところのあるなつかしい顔を見ると、芳子は涙のみなぎるのをとどめ得なかった。
蒲団 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
ふるき代の富貴ふうき栄耀えようの日ごとにこぼたれ焼かれて参るのを見るにつけ、一掬いっきく哀惜の涙をとどめえぬそのひまには、おのずからこの無慚むざんな乱れをべる底の力が見きわめたい
雪の宿り (新字新仮名) / 神西清(著)
それと同時にお松は、ひしとわが身に頼りなさの心が湧いて来るのをとどめることができません。
なおこの乞食にはまさるべし、思えば気の毒の母よ子よと惻隠そくいんの心とどめがたくて、覚えず階上より声をかけつつ、妾には当時大金なりける五十銭紙幣に重錘おもりをつけて投げ与えけるに
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
新聞紙上で美女丸の好評を読むたびに、わたしはとどめがたい愉快と満足とを感じた。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
なみだとどめあへぬはおろかじゃう自然しぜんなれども、理性りせいまなこからは笑草わらひぐさでござるぞよ。
くに政治の改造までに個性の自由を延長して考え、政界の腐敗に対して公憤をとどめかねている真成の新しい女たちが其処此処そこここの家庭に人知れず分布されているであろうとも想像されるのである。
鏡心灯語 抄 (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
わが「松浦あがた」の記はまさにをはるといへども、なほひそかに飽かぬここちのとどめがたきものあり、そは人の未だこの地に遊びて、爽快なる大気のうちに嘯きしことを聞くの少なきを悲むがために。
松浦あがた (新字旧仮名) / 蒲原有明(著)
あまりにこの光明の殊妙なのに歓喜よろこびとどめあえず
仏教人生読本 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
はたとどめえじ、落葉らくようの風のまにまに吹きふも。
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
空可恐そらおそろしく胸の打騒ぐをとどめ得ず。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
ふるき代の富貴ふうき栄耀えようの日ごとにこぼたれ焼かれて参るのを見るにつけ、一掬いっきく哀惜の涙をとどめえぬそのひまには、おのづからこの無慚むざんな乱れをべる底の力が見きはめたい
雪の宿り (新字旧仮名) / 神西清(著)
これは英国オックスフォールド大学教授マークベイ(Markby)氏の寄贈したものだということであるが、我輩はこれに対して、深厚なる敬意を表するをとどめることが出来なかった。
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
思うてここに至るごとに、そぞろに懐旧のなんだとどめがたきを奈何いかにせん。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
滿ちまた涸れゆくこころとどめかねつ。
独絃哀歌 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)