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しょうとく
ふりがな文庫
“
生得
(
しょうとく
)” の例文
新一君のお母さんは日本人の顔を持った
生粋
(
きっすい
)
のアメリカ人であった。祖父ブウリーと父新太郎の血を受けついだ
生得
(
しょうとく
)
のスパイであった。
偉大なる夢
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
伝
(
つて
)
を求めて権門
貴戚
(
きせき
)
に伺候するは
魯
(
おろ
)
か、先輩朋友の間をすらも奔走して頼んで廻るような小利口な真似は
生得
(
しょうとく
)
出来得なかった。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
「
生得
(
しょうとく
)
の愚か者とみえる」武士が苦い顔をしたことは云うまでもない、「では其の方なぜ此の家へ来ておる、なぜ柳原でお貰いをしておらんのだ」
長屋天一坊
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
陸は
生得
(
しょうとく
)
おとなしい子で、泣かず
怒
(
いか
)
らず、
饒舌
(
じょうぜつ
)
することもなかった。しかし言動が快活なので、
剽軽者
(
ひょうきんもの
)
として家人にも他人にも喜ばれたそうである。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「持っていた——が、
生得
(
しょうとく
)
馬が嫌いで、落馬も生れて始めてだから、大地に膝をついた時、思わず取り落とした」
銭形平次捕物控:022 名馬罪あり
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
絶食するに至って初めて方便をめぐらすべきである。「
三国
(
さんごく
)
伝来の仏祖、
一人
(
いちにん
)
も飢ゑ
死
(
じ
)
にし
寒
(
こご
)
え
死
(
じ
)
にしたる人ありときかず。」世間衣糧の資は「
生得
(
しょうとく
)
の
命分
(
みょうぶん
)
」
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
御存知の通り文三は
生得
(
しょうとく
)
の親おもい、母親の写真を視て、我が辛苦を
甞
(
な
)
め
艱難
(
かんなん
)
を忍びながら定めない浮世に
存生
(
なが
)
らえていたる、自分
一個
(
ひとり
)
の
為
(
ため
)
而已
(
のみ
)
でない事を
想出
(
おもいいだ
)
し
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
私が
生得
(
しょうとく
)
酒を好んでも、郷里に居るとき少年の身として自由に飲まれるものでもなし、長崎では一年の間、禁酒を守り、大阪に出てから
随分
(
ずいぶん
)
自由に飲むことは飲んだが
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
そこで育ったのが久兵衛で、彼に名人芸があるとすれば、これは
生得
(
しょうとく
)
で主人から教えてもらったものではあるまい。それで魚肉を薄く切る
陋習
(
ろうしゅう
)
が今に残っているものと思う。
握り寿司の名人
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
幸いにして東京に良家のあるありて、彼女のために適所を供さば、たんに心身の
更生
(
こうせい
)
を
僥倖
(
ぎょうこう
)
しうるのみならず、その
生得
(
しょうとく
)
の才能を発揮するの機縁に遇いうるやも計るべからず。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
生得
(
しょうとく
)
がかいの無い悲しさに、何と思っても凌ぎ切れぬ……とねをあげるほどだ。
ある偃松の独白
(新字新仮名)
/
中村清太郎
(著)
「先生も御承知のとおり、わっしは
生得
(
しょうとく
)
、
犬
(
いぬ
)
猫
(
ねこ
)
がすきでごぜえやして……」
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
かような
頭
(
つむり
)
を致しまして、あてこともない、化物
沙汰
(
ざた
)
を申上げまするばかりか、
譫言
(
うわごと
)
の薬にもなりませんというは、誠に早やもっての外でござりますが、自慢にも何にもなりません、
生得
(
しょうとく
)
大の臆病で
湯女の魂
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
生得
(
しょうとく
)
、いっこう纒まりのつかぬ風来坊。
顎十郎捕物帳:01 捨公方
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
(かれは、武者だが、
生得
(
しょうとく
)
の歌人ぞ)
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかし
生得
(
しょうとく
)
、人の
悶
(
もだ
)
え苦しんだり、泣き叫んだりするのを見たがりはしない。物事がおだやかに運んで、そんなことを見ずに済めば、その方が勝手である。
山椒大夫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
華
(
はな
)
、琴、鼓などという芸事をずいぶん熱心にならった、また
生得
(
しょうとく
)
さかしい彼女はその一つ一つにすぐれた才分をあらわして、その道の師たちをおどろかしたものであるが
日本婦道記:梅咲きぬ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
いやもう
生得
(
しょうとく
)
大嫌
(
だいきらい
)
、
嫌
(
きらい
)
というより
恐怖
(
こわ
)
いのでな。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
周禎が矢島氏を冒した時、長男周碩は
生得
(
しょうとく
)
不調法
(
ぶちょうほう
)
にして
仕宦
(
しかん
)
に適せぬと称して廃嫡を請い、
小田原
(
おだわら
)
に往って町医となった。そこで弘化二年生の次男周策が嗣子に定まった。当時十七歳である。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
生得
(
しょうとく
)
と申しましょうかなかなかそれが身に付きません、芸ごとは心をやしない気を
寛
(
ひろ
)
くすると聞きましたので、柄にも合わず勘も悪くて、半年してもまだ一つの唄があがらないありさまですが
主計は忙しい
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
五郎作は奇行はあったが、
生得
(
しょうとく
)
酒を
嗜
(
たし
)
まず、常に
養性
(
ようじょう
)
に意を用いていた。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
生
常用漢字
小1
部首:⽣
5画
得
常用漢字
小5
部首:⼻
11画
“生得”で始まる語句
生得因果