理想りさう)” の例文
しかるに今日こんにちぱんにこの轉倒てんたふ逆列ぎやくれつもちゐてあやしまぬのは、畢竟ひつきやう歐米文明おうべいぶんめい渡來とらいさい何事なにごと歐米おうべい風習ふうしう模倣もほうすることを理想りさうとした時代じだい
誤まれる姓名の逆列 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
つまはおみつつて、今歳ことし二十になる。なにかとふものゝ、綺緻きりやうまづ不足ふそくのないはうで、からだ発育はついく申分まをしぶんなく、どうや四釣合つりあひほとん理想りさうちかい。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
藝術げいじゆつ價値かちだの、理想りさう永遠えいえんだのといふことを、いつ口癖くちぐせのやうにしてゐる友としては、今日の云ふことはなんだかすこ可笑おかしい……と私は思ツた。
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
純金色じゆんきんしよく薔薇ばらの花、理想りさう寶函たからばこともいふべき純金色じゆんきんしよく薔薇ばらの花、おまへのおなかかぎをおくれ、僞善ぎぜんの花よ、無言むごんの花よ。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
死刑しけい理想りさうとしてはいすべきものだけれど、それが保存ほぞんされてある以上いじやうるたけおほ利用りようしなければならぬ。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
そよ理想りさうおもひにうすき身なればか朝の露草つゆくさ人ねたかりし
みだれ髪 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
莫遮それはさうと現今げんこん建築けんちく本義ほんぎとか理想りさうとかについ種々しゆ/″\なる異論ゐろんのあることはまこと結構けつこうなことである。建築界けんちくかいにはへず何等なんらかの學術的風波がくじゆつてきふうはがなければならぬ、しからざれば沈滯ちんたい結果けつくわ腐敗ぶはいするのである。
建築の本義 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
むらさき理想りさうの雲はちぎれ/\仰ぐわが空それはた消えぬ
みだれ髪 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)