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片時
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へんじ
ふりがな文庫
“
片時
(
へんじ
)” の例文
ただ内蔵助が茶屋酒に酔い
痴
(
し
)
れながら、
片時
(
へんじ
)
も仇討のことを忘れなかったように、自分も女のために一大事を忘れようとは思わない。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
乗り合いは前後に
俯仰
(
ふぎょう
)
し、左右に
頽
(
なだ
)
れて、
片時
(
へんじ
)
も安き心はなく、今にもこの車
顛覆
(
くつがえ
)
るか、ただしはその身投げ落とさるるか。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
息は
凝
(
こ
)
り、
面
(
おもて
)
は
打蒼
(
うちあを
)
みて、その
袖
(
そで
)
よりは
劒
(
つるぎ
)
を
出
(
いだ
)
さんか、その心よりは
笑
(
ゑみ
)
を
出
(
いだ
)
さんか、と
胸跳
(
むねをど
)
らせて
片時
(
へんじ
)
も苦く待つなりき。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
孝「
私
(
わたくし
)
は
何時
(
いつ
)
までも殿様の側に生涯へばり附いております、ふつゝかながら
片時
(
へんじ
)
も殿さまのお側を放さずお置き下さい」
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
『お殿様
御事
(
おんこと
)
年来御放蕩の結果お鼻御落滅。同時に御失明の
虞
(
おそれ
)
有之候間
片時
(
へんじ
)
も早う眼科へ転学
可然
(
しかるべく
)
』とありました。
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
▼ もっと見る
太孫
猶
(
なお
)
齢
(
とし
)
若く、子澄未だ世に老いず、
片時
(
へんじ
)
の談、七国の論、何ぞ
図
(
はか
)
らん他日山崩れ海
湧
(
わ
)
くの大事を生ぜんとは。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
すると鍋小路の若殿
恰
(
まる
)
で結納の品でも貰つたやうに有頂天になつて其紙莨入れを
片時
(
へんじ
)
も離さず到る処に番町随一の美人から貰つたと吹聴して廻つたさうだ。
犬物語
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
召抱
(
めしかゝ
)
へ先是にて
可
(
か
)
なり
間
(
ま
)
に合べし然らば
片時
(
へんじ
)
も早く京都へ立越べしと此旨を御城代へ
屆
(
とゞけ
)
ける使者は赤川大膳是を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
我が男子が徳義上に軽侮を
蒙
(
こうむ
)
るの一事は、その原因中の
大箇条
(
だいかじょう
)
なるが故に、いやしくもこれに心付きたる者は、
片時
(
へんじ
)
も猶予せずしてその過ちを改めざるべからず。
日本男子論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
これほどまでに自分を引き留めたいのは、ただ当年の
可懐味
(
なつかしみ
)
や、
一夕
(
いっせき
)
の
無聊
(
ぶりょう
)
ではない。よくよく行く先が案じられて、亡き後の安心を
片時
(
へんじ
)
も早く、脈の打つ手に握りたいからであろう。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「何はともあれ、その江戸ッ子の大通先生を、
片時
(
へんじ
)
も早くこの場へ……」
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
と毎日口に入るるものは
片時
(
へんじ
)
も
等閑
(
なおざり
)
にすべからず。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
言語道断の
淫戯者
(
いたずらもの
)
片時
(
へんじ
)
も家に置難しと追出されんとしたりし時、下枝が
記念
(
かたみ
)
に見たまえとて、我に与えし写真あり。
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
思ひてなれば
差控
(
さしひか
)
へには及ばず越前とても予が家來なり是迄の
無禮
(
ぶれい
)
は許すといひ又越前
片時
(
へんじ
)
も疾く父上に對面の
儀
(
ぎ
)
取計
(
とりはから
)
ふべしと有ば越前守は
恐
(
おそ
)
れ入て有難き上意を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
彼の陰に在りて起れる事、又は見るべからざる人の心に浮べる事どもは、貫一の知る
因
(
よし
)
もあらねど、
片時
(
へんじ
)
もその目の忘れざる宮の様子の常に変れるを
見出
(
みいだ
)
さんは
難
(
かた
)
き事にあらず。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
と私は
片時
(
へんじ
)
も早く
偏見
(
へんけん
)
を一掃することに努めた。
ガラマサどん
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
湯を
沸
(
わか
)
す炭もなく、茶も切れていたのです。年も二十以上違っている。どうしてこんな細君を。いや、あの、
片時
(
へんじ
)
も手離さない「魔道伝書」を見るがいい。
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
考
(
かんが
)
へ給ふ處におよそ奉行たる者は
正路
(
しやうろ
)
にあらざれば
片時
(
へんじ
)
も
立難
(
たちがた
)
し
其正直
(
そのしやうぢき
)
にて
仁義
(
じんぎ
)
のもの
當世
(
たうせい
)
に少し然るに大岡越前守伊勢山田
奉行
(
ぶぎやう
)
として先年の
境論
(
さかひろん
)
ありし時いづれの奉行も
我武威
(
わがぶゐ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
滅相な、
片時
(
へんじ
)
を争う。一寸のびても三寸の毛が生えようぞに。既に、一言を聞いた時、お孝には、もう施した。二人のためには手間は取られず、行方は知れぬ。
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“片時”の意味
《名詞》
片時(へんじ・へんし)
わずかな時間。片時|かたとき。
(出典:Wiktionary)
片
常用漢字
小6
部首:⽚
4画
時
常用漢字
小2
部首:⽇
10画
“片時”で始まる語句
片時雨